SIRPαがん免疫療法「BI 770371」の臨床開発を進展 ベーリンガーインゲルハイム

 ベーリンガーインゲルハイムは18日、バイオテクノロジー企業のOSEとファーストインクラスの可能性を有するSIRPαがん免疫療法「BI 770371」を臨床開発の次段階に進めると発表した。
 プログラムの一環として、ベーリンガーインゲルハイムは、改良された次世代の抗SIRPα抗体を用いて、P1b試験に開発を進める予定である。
 がん免疫療法で持続的寛解を達成できるのは、すべてのがん症例のわずか15~20%である。ベーリンガーインゲルハイムは、この割合を大幅に高めるべく取り組んでいる。がん免疫研究を通じ、がん細胞に対して免疫系を活性化させるためのさまざまな補完的アプローチを開発している。
 SIRPα免疫チェックポイントの阻害は、こうしたアプローチの1 つで、SIRPαは、がん細胞を認識、貪食、破壊するマクロファージに発現する受容体である。この受容体が結合パートナーである分化抗原群 47(CD47)に結合すると、免疫活性が抑制される。
 そのため、多くのがん細胞が表面に CD47 を発現させ、免疫系による検出と破壊を逃れようとする。SIRPαを阻害することで、マクロファージが免疫活性を高め、がん細胞を破壊できる。
 このプログラムの進展により、ベーリンガーインゲルハイムは、包括的ながん免疫パイプラインを強化し、次世代のがん治療を加速させ、患者の高いアンメットニーズに対応する。ベーリンガーインゲルハイムは、単独でこのプログラムの今後のすべての開発および将来的な販売を担う。。

◆Vittoria Zinzallaベーリンガーインゲルハイムのトランスレーショナル研究・臨床薬理グローバル責任者のコメント
 OSEによって開始された SIRPαプログラムの進展に大いに期待している。初期の臨床試験から得られた良好なデータと改良した抗体への切り替えにより、ファーストインクラスのがん治療薬パイプラインを加速、拡充させ、がん患者さんの生活を変革するという目的を達成したいと考えている。

◆Nicolas Poirier OSE Immunotherapeutics CEOのコメント
 今回、SIRPαプロジェクトが心腎代謝疾患に拡大された上に、がん免疫の臨床開発段階に進んだことを非常に嬉しく思う。これにより、選択的SIRPα療法をより多くの患者さんに届けるという目的の達成に一歩近づいた。

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