マバカムテン 閉塞性肥大型心筋症の治療薬として国内で製造販売承認申請 ブリストル・マイヤーズ スクイブ

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)は17日、マバカムテンについて、国内で閉塞性肥大型心筋症(oHCM)の治療薬として製造販売承認を申請したと発表した。 マバカムテンは心筋ミオシンに対する選択的かつ可逆的な低分子のアロステリック阻害剤で、ミオシンとアクチンのクロスブリッジ(架橋 )形成を抑制することで、心筋において収縮力及びアデノシン三リン酸 (ATP)消費を抑制する新規作用機序を有する。
 なお、マバカムテンは、予定される効能・効果「肥大型心筋症(HCM)」として2023年6月に希少疾病用医薬品に指定されている。
 HCMは、他の心疾患や全身性疾患など心室肥大(心室壁厚の増加)を起こす明らかな原因がないにも関わらず、心室肥大が認められる原発性の心筋症で、左室流出路閉塞の有無により閉塞性と非閉塞性に大別される。
 oHCM患者の臨床症状は個々でその程度は異なるが、症状を有する場合、安静時または労作時の息切れ、疲労、胸痛、立ちくらみ、失神が認められる。また、労作時に症状を伴う患者は、運動が制限されるため、身体活動能力が低下していく。
 これらの症状は、有効な治療がない中で徐々に悪化し、身体的負荷が増え、患者や家族の日常生活に多大な影響を及ぼすようになる。
 oHCMが進行すれば、心機能(拡張機能と収縮機能)が低下し、心不全や心房細動を起こすため、血栓塞栓性脳卒中のリスクが上昇する。また、突然死は HCM 関連死の約 40%を占め、HCM の最も重大な死因のひとつとなっている。
 国内での開発計画では、海外P3試験(MYK-461-005、EXPLORER-HCM)の結果から、oHCM 患者に対する有効性が検証され、忍容可能な安全性が確認されたことを踏まえ、国内でのP3試験(CV027004、HORIZON-HCM)が実施された。
 HORIZON-HCM試験は、日本人のoHCM患者を対象にマバカムテンの有効性、安全性を評価した非盲検単群試験である。主要評価項目である投与30週時の運動負荷後の左室流出路最大圧較差のベースラインからの変化量は、-60.7mmHg(95%信頼区間[CI]: -71.5~-49.9)であった。
 安全性プロファイルは、これまでに報告されているものと一貫しており、新たな安全性シグナルは認められなかった。これらのデータは、2024 年3月に開催された第 88 回日本循環器学会学術集会のLate Breakingセッションで発表された。

◆杉田真BMS研究開発本部長のコメント
 肥大型心筋症は、国内で指定難病として位置づけられており、現在のところその病態生理を標的とした治療薬は存在しない。マバカムテンが、慢性かつ進行性のこの疾患のアンメットメディカルニーズの解消に貢献できることを期待している。

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