ベーリンガーインゲルハイムは10日、Gubra社と次世代のファーストインクラス抗肥満薬となる可能性を有する長時間作用型トリプルアゴニストペプチド(BI 3034701)のP1試験(NCT06352437)を開始したと発表した。トリプルアゴニストは、体重減少を促す受容体を標的とする治療薬候補である。
世界では 10 億人以上が肥満を抱えており、その数は増え続けている。2035年までに、世界人口の24%がこの疾患の影響を受けると予測されている。
肥満は、世界の死因の上位を占める心腎代謝(CRM)疾患や一部のがんの主なリスク因子である。BI3034701の開発段階が進むことにより、ベーリンガーインゲルハイムは、肥満と共に生きる人々が単なる体重減少にとどまらず、心腎代謝疾患の改善も達成できるよう患者視点のソリューションとなるパイプラインをさらに拡充する。
BI3034701は、Gubra 社と共同開発されたもので、Gubra社からIPライセンスを供与されており、ベーリンガーインゲルハイムは単独で今後の世界的な開発・販売を担当する。この試験は、臨床試験への進展を目指す Gubra 社との提携において、BI1820237 に続く 2 番目のプロジェクトである。
BI1820237 については、P1試験の結果が 2023 年に発表されている。
今回のP1相無作為化プラセボ対照ファーストインヒューマン(FIH)試験では、治療薬候補(BI 3034701)の安全性、忍容性、薬物動態を評価する。試験は、2つのパートに分かれており、パートAは、18~55歳の健康な男性が対象である。パートB は、18~65 歳の過体重または肥満のある健康な人が対象となっている。
被験者には、さまざまな用量の BI3034701 またはプラセボが皮下注射で投与される。パートAでは、投与は1回だけ行われる。パートBでは、BI3034701またはプラセボが複数回投与される。
この試験では、BI3034701が初めてヒトに投与される。124人を登録する予定のこの試験は、2025 年下半期に完了する見込みである。
P1試験の開始により、ベーリンガーインゲルハイムからGubra社へマイルストーンペイメントが支払われる。
◆Søren Tullinベーリンガーインゲルハイムのシニアバイスプレジデント兼循環器代謝領域研究グローバル責任者のコメント
まだ初期段階の取り組みではあるが、相互に関連した心腎代謝疾患と共に生きる人々の生活の質および寿命を改善する包括的な戦略における新たな一歩である。BI3034701は、Gubra 社との共同研究開発プログラムから臨床試験へ進んだ2 つ目の治療薬候補である。
◆Henrik Blou Gubra 社CEOのコメント
このたび BI 3034701がP1床試験に進んだことを非常に喜ばしく思う。肥満となる人々の数は世界的に上昇しており、この複雑な慢性疾患に対処するため、革新的な治療薬が必要とされている。このトリプルアゴニストは、体重減少を促すことが知られている受容体を標的とする治療薬候補であり、世界中の多くの人々にとって次世代のファーストインクラス治療薬となる可能性がある。