アルツハイマー病治療薬「「レケンビ」 中国で発売 エーザイ

 エーザイは6月28日、アルツハイマー病治療薬「レケンビ」(一般名・レカネマブ、ヒト化抗ヒト可溶性アミロイドβ(Aβ)凝集体モノクローナル抗体)を中国で発売したと発表した。
 同剤は、2024年1月に「アルツハイマー病による 軽度認知障害及び軽度の認知症の治療」の適応で、中国国家薬品監督管理局(NMPA)より承認を取得した。今回の中国での発売は、米国、日本に次いで3カ国目となる。
 「レケンビ」は、アルツハイマー病(AD)における可溶性Aβ凝集体(プロトフィブリル*)に 選択的に結合するとともに、Aβプラークの主要構成成分である不溶性Aβ凝集体(フィブリル)にも結合し、脳内のAβプロトフィブリルおよびAβプラークを減少させると考えられている。
 これらの作用により、ADの進行を抑制し、認知機能と日常生活機能の低下を遅らせることを実証し承認された世界で初めてかつ唯一の治療薬だ。
 エーザイは、2024年の中国におけるADによる軽度認知障害(MCI)および軽度の認知症(総称して早期AD)の患者数1700万人と推定しており、今後高齢化の進展と共に増加していくと考えている。中国では、エーザイが、販売ならびに専門MRによる情報提供活動を行うとともに、オンラインとオフラインを融合させた独自の早期ADの診断・治療パスウェイの構築を進めている。
 商業医療保険やプライベート検診、ナーシングホームなどとの連携のもとで、疾患啓発やプレスクリーニング機会を広く提供し、ハイリスクな方には専門病院への早期受診の促進や、JD Health(京東健康)との合弁による、認知症に重きを置いた高齢者向けオンライン健康プラットフォーム「Yin Fa Tong(イー・ファー・トン)」への紹介を行う。
 「Yin Fa Tong」には、現在約30万人のユーザーと、約6000人の医師が登録されており、近隣の病院や専門医の紹介のほか、オンライン診療、「レケンビ」投与後のフォローアップを行う。また、血液バイオマーカーを活用した早期ADの確定診断の実装に向けたエビデンスの構築を推進している。
 中国では、まずはプライベートマーケットにおいて同剤の発売する。エーザイとの提携のもとで、薬剤費の一部保障も含むADに特化したヘルスケア保険が、中国の大手医療保険仲介会社により開発され、既に発売されている。
 エーザイは、これらの取り組みにより、中国におけるADの早期発見・診断・治療の推進と認知症エコシステムの構築を実現し、AD当事者様の「生ききる」を支えるべく、全力を尽くしていく。
  レカネマブについて、エーザイは、開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行う。

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