真に地域医療に貢献する薬剤師育成目指し「在宅医療研修アドバンストプログラム」実施 京都薬科大学

 京都薬科大学は、真に地域医療に貢献する薬剤師育成目指して在宅医療の現場でチーム医療の実践や薬剤師としての役割を学ぶ10日間の実習プログラム「在宅医療研修アドバンストプログラム」を実施する。同プログラムは、昨年に引き続7月から全16日程に分けて行われる。
 日本では少子高齢化の進行により、2050年には高齢化率が約38%にも達し、高齢者1人あたりの生産年齢人口は1.4人となるといわれている。こうした背景から、要支援・要介護認定を受ける人の割合が急増するとともに、病床数の不足や介護・医療費の増大が懸念されており、これらの対応策の一つとして在宅医療の推進が求められている。
 京都薬科大学では、2016年度から渡辺西賀茂診療所の協力のもと、5年次生対象の選択制プログラムとして在宅チーム医療の実習を行っており、2016~2019年度の4年間で31人が参加した。
 2020~2022年度はコロナ禍により中止していたが、2023年度は4年ぶりにプログラムを再開し、7人が実習を終えた。今年度の実習期間は、2024年7月から2025年3月にかけて、10日間を1クールとして全16クールの日程を設定。各クールの定員は2人で、クールごとに参加学生を募集する。
 薬学部5年次で全学生が実施する病院・薬局での実務実習は、主に薬を介した患者対応や他職種との関わりなどを学ぶ「薬剤師になるための実習」である一方、同プログラムの目的は「一医療系学生として他職種の視点を知り、在宅チーム医療における薬剤師の役割を学ぶこと」である。
 同プログラムを通して、病院とは異なる環境下で、他職種と協働しながら地域で患者さんを支えていく医療を経験し、その中で薬剤師として何ができるかを考える機会となっている。
 昨年度参加した学生からは、「終末期の在宅医療に関するイメージが大きく変わった。生きている時間を患者さんにとってより良い時間にするためにチームで取り組む姿勢を学んだ」「薬剤師として薬の提供や服薬指導だけでなく、コミュニケーションやフィジカルアセスメントの大切さを実感した。他職種の仕事を理解したうえで薬剤師としての役割を考えていきたい」など、同プログラムならではの経験や新たな気付きの感想が多数を占めた。
 全日程終了後は学内で実習報告発表会を実施し、自らの学んだことについてポスター発表も行っている。
 京都薬科大学は、同プログラムを今後、社会でますます必要とされる地域医療に真に貢献できる薬剤師を育成する取り組みとして発展させていく。2024年度「在宅医療研修アドバンストプログラム」詳細は、次の通り。

◆概要
 学部5年次生向けの10日間の在宅医療実習であり、他職種・他学部生との交流を通して、在宅医療におけるチーム医療のあり方や多種連携について、訪問医、訪問看護師、またはケアマネジャーなどの介護従事者の方々と一緒に現場に入り、在宅チーム医療を経験し学ぶための体験型プログラムである。

◆研修場所
渡辺西賀茂診療所(京都市内)
 患者の「住み慣れた地域・自宅で療養しながら生活したい」という希望を24時間体制で支える機能強化型在宅療養支援診療所として、訪問診療を継続している患者からの連絡を24時間いつでも受け、往診、訪問看護を提供できる体制を整えている。
 また、これから増えていく終末期医療を含め、在宅医療に向き合っていける医療者の育成にも力を入れている。
◆プログラムの一例(日程によっては実施しない倍もある)
 医療・介護の現場で、医師・看護師・作業療法士・理学療法士・言語聴覚士・鍼灸師・ケアマネジャーなどの視点や考え方を学び、その中で薬剤師として何ができるかを考える。

◆多職種ミーティング
 様々な職種が一斉に集まり前日の申し送りや当日のスケジュールについて話をす。

◆実習
 主に訪問医の訪問診療や訪問看護師の訪問看護に同行して各職種の患者に対する考え方を学ぶ。また、介護について学ぶ機会もあり、紫竹包括ケアセンターおよび介護予防推進センターへの訪問を体験し、介護福祉士の仕事を学ぶ。毎日、その日に学んだことについて話し合う振り返りの時間を設け共有する。

◆最終発表
 各クールの最終日に、10日間の研修で経験した事例や、その中で得た学びや気づきなどについて、1人ずつプレゼンテーションを行う。

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