武田薬品は24日、FRUZAQLAについて、治療歴を有する転移性大腸がんを対象に欧州委員会(EC)が承認したと発表した。
対象は、フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤、オキサリプラチン、およびイリノテカンを含む化学療法、抗VEGF療法ならびに抗EGFR療法による治療歴があり、トリフルリジン・チピラシル塩酸塩配合剤又はレゴラフェニブのいずれかによる治療中に進行したもしくはこれらに不耐の転移性大腸がん(mCRC)成人患者に対する単剤療法。
FRUZAQLAは、3つすべてのVEGF受容体(1/2/3)に対する選択性を有する経口阻害薬だ。VEGFR阻害薬は腫瘍血管新生の阻害において極めて重要な役割を果たしている。FRUZAQLAは、標的外のキナーゼ活性を最小限に抑えることにより、高い選択性を有するようデザインされており、高い薬物曝露、持続的な標的阻害、併用療法の一部として使用する柔軟な可能性を有している。
同決定は、本年4月25日の欧州医薬品評価委員会(CHMP)からの肯定的見解と2023年11月8日のオキサリプラチンおよびイリノテカンを含むレジメンによる治療歴のあるmCRCの成人患者に対する米国FDAによる承認に続くもの。
今回の承認は、国際共同P3試験(FRESCO-2試験)の結果に基づいている。同試験では、治療歴を有するmCRC患者を対象としてFRUZAQLA+最良の支持療法(BSC)群とプラセボ+BSC群を比較検討した。FRESCO-2試験は、有効性に関する主要評価項目および重要な副次評価項目をすべて達成し、前治療の種類にかかわらず、FRUZAQLAの投与を受けた患者で一貫した効果を示した。
FRUZAQLAは、FRESCO-2試験において管理可能な安全性プロファイルを示した。投与中止に至る有害事象の発現率は、プラセボ+BSC群では21%であったのに対し、FRUZAQLA+BSC群では20%であった。FRESCO-2試験のデータは、2023年6月にThe Lancet誌に掲載された。
◆Josep Tabernero Vall d´Hebron Institute of Oncology 取締役(MD, PhD,)のコメント
転移性大腸がんの患者さんは、疾患と治療の副作用の両方に起因する多くの困難に直面している。この疾患の複雑な性質を考慮すると、化学療法以外の経口分子標的薬の治療選択肢であるフルキンチニブのような革新的な治療の導入が不可欠である。適切な患者さんに新たな治療選択肢を提供できることを楽しみにしている。
◆Teresa Bitetti武田薬品グローバル オンコロジー ビジネス ユニットのプレジデントのコメント
本日の承認はEUにおける大腸がんコミュニティにとって重要な瞬間である。治療歴のある転移性大腸がん患者さんは、この10年以上で初めて、バイオマーカーにかかわらず使用可能な新たな標的治療薬の選択肢を手にした。当社は管理可能な安全性プロファイルを有し、前治療の種類にかかわらず有効となりうる新規治療選択肢を患者さんにお届けすることを楽しみにしている。