アッヴィは20日、リサンキズマブについて、中等症以上の活動期潰瘍性大腸炎の成人患者への治療薬として欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品委員会(CHMP)が肯定的見解を示したと発表した。
対象は、既存治療または生物学的製剤で効果不十分、効果減弱または不耐容であった中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎を有する成人患者。
用量については、寛解導入療法として1200mgを静脈内(IV)投与し、その後、個々の患者さんの症状に応じて維持療法として180mgまたは360 mgを皮下(SC)投与することが推奨されている。欧州委員会の最終決定は2024年の第3四半期に予定されている。
CHMPによる肯定的見解は、2つのP3試験(INSPIRE寛解導入療法試験1およびCOMMAND維持療法試験2)で得られたデータに基づくもの。
INSPIRE試験では、中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎を有する患者を対象として、リサンキズマブによる寛解導入療法(0週、4週および8週時に1200 mgをIV投与)を評価した。COMMAND試験では、INSPIRE試験で寛解導入療法が奏効した患者をさらに52週間の維持療法としてリサンキズマブ180mgまたは360mgのSC投与群に無作為に割り付けた。
これらの試験におけるリサンキズマブの安全性プロファイルは、さまざまな適応症を対象としたこれまでの試験全体でみられた安全性プロファイルとおおむね一致しており、新たな安全性のリスクは認められなかった。
欧州連合では、潰瘍性大腸炎に対するリサンキズマブの使用は承認されておらず、その安全性・有効性については引き続き評価中である。
なお、リサンキズマブは、ベーリンガーインゲルハイムとアッヴィの業務提携の一環で、アッヴィが世界的に開発と販売を主導している。
◆INSPIRE試験の治験責任医師であるEdouard Louis氏(リエージュ大学病院消化器内科教授兼科長、リエージュ大学学部長, M.D., Ph.D.)のコメント
P3試験のINSPIRE試験とCOMMAND試験の結果から、中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎を有する患者さんは、症状コントロールにとどまらない組織学的・内視鏡的粘膜治癒を含む長期管理目標を追求できることが示された。
患者さんの治療目標が症状管理にとどまらず内視鏡的寛解にまで発展しつつあることから、この知見には大きな意義がある。内視鏡的改善により、入院リスクの低下や生活の質の向上など、良好な長期的転帰が得られる可能性があることが複数の試験で示されている。
◆Kori Wallaceアッヴィvice president兼global head of immunology clinical development(M.D., Ph.D.)のコメント
アッヴィでは、すべての活動において患者さんを中心に考え取り組んでいる。消化器領域で進行中の研究開発への取り組みを通じて、必要としている患者さんに新たな治療選択肢を提供すべく尽力している。
患者さんが長期的な治療目標を達成できるようになる可能性があるリサンキズマブの潰瘍性大腸炎に対する使用について、EMAの最終決定を心待ちにしている。