vibostolimabとキイトルーダ配合剤 切除後高リスク悪性黒色腫術後補助療法におけるP3試験中止 MSD

 MSDは、vibostolimabとキイトルーダ配合剤について、切除後高リスク悪性黒色腫術後補助療法におけるP3試(KeyVibe-010試験)を中止すると発表した。同試験は、切除後高リスク悪性黒色腫(IIB〜IV期)に対する術後補助療法として、抗TIGIT抗体のvibostolimabと抗PD-1抗体のキイトルーダの配合剤を、キイトルーダ単剤療法と比較するもの。
 事前に計画された解析で、主要評価項目である無再発生存期間(RFS)が事前に規定された無益性の基準に達した。一方、主に免疫関連の有害事象により、キイトルーダ単剤療法群と比較して配合剤投与群で術後補助療法の中止率が高く、同試験で統計学的に有意なRFS延長を達成できる可能性が非常に低いことが示された。
 独立データモニタリング委員会(DMC)の勧告に基づき、MSDは同試験を盲検解除し、vibostolimabとキイトルーダの配合剤投与群にはキイトルーダによる単剤療法が提供されるよう推奨する。同試験のデータ解析は現在も継続中で、結果は医学界に提供し、規制当局に報告していく。
 MSDは、より早い病期の悪性黒色腫を含め、悪性黒色腫患者の新たな治療の選択肢を開発し、現在の標準治療を拡大できるよう取り組んでいる。このプログラムには、モデルナ社と協力して現在進行中の、切除後高リスク(IIB〜IV期)悪性黒色腫に対する術後補助療法として個別化ネオアンチゲン療法(INT: individualized neoantigen therapy)のV940(mRNA-4157)とキイトルーダの併用療法を評価するP3相V940-001試験などが含まれる。
 キイトルーダは、米国では、切除不能または転移性悪性黒色腫、および完全切除後のIIB期、IIC期またはIII期の悪性黒色腫の成人および小児(12歳以上)患者に対する術後補助療法の、2つの適応が承認されている。
 vibostolimabは、MSDが開発を進めている抗TIGIT抗体で、TIGIT受容体がリガンド(CD112、CD155)に結合するのを阻害し、腫瘍細胞の破壊を助けるTリンパ球を活性化させることで抗腫瘍活性を回復するもの。
 MSDは、vibostolimabとキイトルーダの配合剤、または他の薬剤との併用療法の安全性と有効性を3000人以上の患者を対象として評価する広範な臨床開発プログラムを有している。
 vibostolimabとキイトルーダの配合剤の評価は、肺がんにおいてP3試験を実施中で、KeyVibe-003、KeyVibe-006、KeyVibe-007、KeyVibe-008試験があり、独立データモニタリング委員会による定期的なモニタリングが実施されている。独立データモニタリング委員会による安全性の中間レビューに基づく、安全性に関連した試験の変更はこれまでのところない。KeyVibe-010試験に基づくこれらの試験の変更は予測されていない。

◆マージョリー・グリーンMSD研究開発本部グローバル臨床開発部門がん担当シニアバイスプレジデントの(博士)のコメント
 当社は、臨床開発プログラムを通して、今まで培ってきたキイトルーダの知見に基づき、新たな配合剤や併用療法の可能性を十分に探り、現在の標準療法を向上させ、より多くのがん患者さんに貢献していくために挑戦を続けている。
 この試験から得られた知見を活かしつつ、この配合剤の肺がんにおける試験を含め、新たな機序の多様なパイプラインを速やかに進めいきたい。

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