MSDは、抗PD-1抗体キイトルーダと化学療法±放射線療法について、根治手術後に新たに高リスク子宮内膜がんと診断された患者を対象に術後補助療法を評価するP3相KEYNOTE-B21試験において、主要評価項目である無病生存期間(DFS)を延長しなかった発表した。
独立データモニタリング委員会による事前に規定された中間解析にもとづき、キイトルーダと化学療法±放射線療法による術後補助療法は、プラセボと化学療法±放射線療法による術後補助療法と比較して、事前に規定されたDFSの統計学的基準を満たさなかった。DFSの優越性が達成されなかったため、この試験のもうひとつの主要評価項目である全生存期間(OS)は、正式に検証されなかった。 キイトルーダの安全性プロファイルは、これまでに報告されている試験で認められているものと一貫しており、新たな安全性の懸念は特定されなかった。同試験のデータは現在も評価を継続している。MSDは、治験担当医師と協力し、この結果を医学界に提供していく。
米国においてキイトルーダは、子宮内膜がんの2件の適応が承認されている。ひとつはKEYNOTE-775/Study309試験に基づく適応で、エーザイとの共同開発による治療ラインにかかわらず全身療法後に増悪した根治的手術または放射線療法に不適応な高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有さない、またはFDAが承認する検査でミスマッチ修復機構が正常な(pMMR)進行性子宮内膜がんに対するレンバチニブとの併用療法である。
もうひとつはKEYNOTE-158試験に基づく適応で、治療ラインにかかわらず、全身療法後に増悪した、根治的手術または放射線療法が不適応なMSI-H、またはFDAが承認する検査でミスマッチ修復機構欠損(dMMR)を有する進行性子宮内膜がんに対する単剤療法である。
MSDは、子宮内膜がんの包括的な臨床開発プログラムを実施しており、進行または再発子宮内膜がんに対するキイトルーダと標準化学療法(カルボプラチンとパクリタキセル)の併用療法、その後のキイトルーダの単剤療法を評価するNRG-GY018/KEYNOTE-868試験などを行っている。
◆ガーセル・アクタン研究開発本部のグローバル臨床開発担当バイスプレジデント(博士)のコメント
期待した結果は得られなかっったが、すでに適応症として承認されている進行子宮内膜がんにおけるキイトルーダの役割を引き続き拡大することに注力しつつ、子宮内膜がんや他の婦人科がんに対するキイトルーダの併用療法や抗体薬物複合体など他の候補薬の臨床研究を速やかに進めていきたい。