アストラゼネカは11日、イミフィンジについて、P3相ADRIATIC試験において、標準治療の同時化学放射線療法(cCRT)後に進行のない限局型小細胞肺がん(LS-SCLC)に対し、プラセボと比較して2つの主要評価項目である全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示したと発表した。
これらの結果は、2024年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会のプレナリーセッションで報告された。
事前に規定された中間解析の結果では、イミフィンジは、プラセボに対して死亡リスクを 27%低下させた(OS ハザード比 [HR] 0.73;95%信頼区間 [CI]0.57~0.93;p=0.0104)。
OSの推定中央値は、プラセボ群では33.4カ月であったのに対し、イミフィンジ群では 55.9カ月であった。3 年生存率は、プラセボ群の推定48%に対し、イミフィンジ群で57%を示した。
また、イミフィンジ群では病勢進行または死亡のリスクがプラセボと比較して24%低下した(PFS HR 0.76;95%CI0.61~0.95;p=0.0161)。
PFS中央値は、プラセボ群では9.2カ月であったのに対し、イミフィンジ群は16.6 カ月であった。2年後に病勢進行を認めなかった患者の割合は、プラセボ群では推定34%であったのに対し、イミフィンジ群では46%であった。
観察されたOSおよびPFSのベネフィットは、年齢、性別、人種、診断時の病期、放射線治療歴、および予防的全脳照射の有無を含む、事前に規定した主要な患者サブグループ全体でおおむね一致していた。イミフィンジの安全性プロファイルは、おおむね管理可能であり、同剤の既知のプロファイルと一貫していた。新たな安全性シグナルは認められなかった。原因を問わないグレード 3 および 4 の有害事象は、イミフィンジ群の 24.4%とプラセボ群の 24.2%の患者で発現が認められた。
◆同試験の治験責任医師であるDavid R. Spigel氏(Sarah Cannon研究所最高科学責任者)のコメント
ADRIATIC 試験の結果は、再発率が高く、患者さんの5 年生存率がわずか15~30%という非常に悪性度の高い疾患であるLS-SCLC における画期的な進歩を表している。デュルバ ルマブは、LS-SCLC患者さんの生存率を数十年ぶりに改善させた全身療法であり、この疾患における新たな標準治療となるはずである。
◆Susan Galbraithアストラゼネカオンコロジー研究開発エグゼクティブ・バイスプレジデントのコメント
cCRT後のイミフィンジ投与によって認められた OSの大幅な延長は、LS-SCLC の治療に変革をもたらすものである。これらの素晴しい結果は、早期ステージの肺がんにおける生存率を上げるという我々の願望を強調するものであり、イミフィンジをできるだけ早くLS-SCLC患者さんにお届けできるように規制当局との連携を心待ちにしている。