難聴治療薬候補獲得でCilcare社とオプション契約締結 塩野義製薬

 塩野義製薬は6日、フランスCilcare社との間で、同社が有する難聴に対する治療薬候補(CIL001、CIL003)に対して、全世界における、開発・製造・商業化の独占的なライセンスを獲得するためのオプション契約を締結したと発表した。
 同社は契約締結に伴い、一時金(1500万ユーロ)をCilcare社に支払う。また、同オプション権を行使した場合、進捗に応じた開発および販売マイルストンとして最大で約4億ユーロと販売額に応じたロイヤリティを支払う。
 Cilcare社が開発中のCIL001は、聴覚神経保護作用を有する新規の難聴治療薬候補である。
 現在、2型糖尿病または軽度認知障害患者における聴覚データを収集することを目的に準備試験を実施中で、引き続き、蝸牛シナプトパシーを有する2型糖尿病患者に対して、CIL001投与後の安全性および有効性を評価するためのP2a試験を計画している。
 また、CIL003は、非臨床試験を実施中である。塩野義製薬社はCilcare社が実施予定であるCIL001のP2a試験の結果やCIL003の非臨床試験のデータ等を基に、オプション権を行使するか否かを判断する予定である。
 難聴は、世界中で約15億人が罹患している世界的な健康問題である。その発生率は急増しており、2050年までに世界人口の4分の1が、さまざまな聴覚障害を経験すると言われている。中でも、内耳蝸牛シナプスの障害が主としておこる難聴は、蝸牛シナプトパシーと呼ばれ、高齢者の認知症の発症リスクを増加させることや、糖尿病患者における有病率が高いことが知られている。
 だが、現時点では有効な治療薬はなく、アンメットニーズの高い疾患です。難聴に対処しなければ、年間約1兆ドルの経済損失があるとも言われており、新たな治療薬が求められている。

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