小野薬品は4日、オプジーボ単剤療法およびオプジーボを含む併用療法について、提携するブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)が、2024年ASCO年次総会で、早期・進行期の非小細胞肺がんにおける複数の最新の解析結果を報告したと発表した。
オプジーボ単剤療法およびオプジーボを含む併用療法を支持するCheckMate -77T試験、CheckMate -816試験およびCheckMate -9LA試験の3試験の最新の解析結果を公表したもの。2024年ASCO年次総会で公表されたそれぞれの試験結果は、次の通り。
◆CheckMate -77T試験結果
切除可能なステージⅢのNSCLC患者を対象に、オプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法と、それに続く手術とオプジーボによる術後補助療法の周術期療法レジメンを評価したP3試験であるCheckMate-77T試験の最新の探索的解析結果が、3日に口頭発表された。
同解析において、オプジーボによる周術期療法レジメンは、化学療法とプラセボの併用療法による術前補助療法と、それに続く手術とプラセボによる術後補助療法と比較して、リンパ節転移の有無にかかわらず、無イベント生存期間(EFS)の中央値を延長した(N2サブグループ:オプジーボ群30.2カ月 vs プラセボ群10.0カ月;ハザード比 [HR] 0.46;95% 信頼区間[CI]:0.30-0.70)および非N2サブグループ:オプジーボ群 未達 vs プラセボ群17.0カ月;HR 0.60;95% CI:0.33-1.08)。
1年EFS率は、いずれのサブグループでも、オプジーボによる周術期療法レジメンでより高い値を示した(N2サブグループ: オプジーボ群70% vsプラセボ群45%、および非N2サブグループ:オプジーボ群74% vs プラセボ群62%)。手術の実施可能性はN2および非N2患者で同程度であり、オプジーボ群とプラセボ群でも同程度であった(N2:オプジーボ群77% vs プラセボ群73%、および非N2:オプジーボ群82% vs プラセボ群79%)。
手術後、病理学的完全奏効率は、プラセボ群と比較して、いずれのサブグループにおいてもオプジーボ群でより高いことが示された(N2:オプジーボ群28.6% vs プラセボ群7.6%、および非N2:オプジーボ群31.1% vs プラセボ群6.7%)。グレード3~4の治療に関連する有害事象(TRAE)の発現率は、N2患者ではオプジーボによる周術期療法レジメンで34%、プラセボレジメンで26%であり、非N2患者ではオプジーボによる周術期療法レジメンで29%、プラセボによる術前補助療法レジメンで21%であった。
これらのデータは、切除可能なステージⅢのNSCLC患者を対象とした免疫療法薬による周術期療法の国際共同第Ⅲ相試験から得られたリンパ節転移の有無に基づいた包括的な解析結果となる。
CheckMate-77T試験は、切除可能な非転移性NSCLC患者を対象とした免疫療法薬を含む併用療法が肯定的な結果を示したブリストル マイヤーズ スクイブの2つ目の無作為化P3試験である。CheckMate-77T試験の主要解析結果は、2024年2月に米国食品医薬品局および欧州医薬品庁が周術期のオプジーボを含むレジメンの 申請受理したことを裏付けるものである。
◆CheckMate -816試験結果
切除可能なステージⅠB~ⅢA NSCLC患者を対象に、免疫療法薬を含む併用療法による術前補助療法または周術期療法を評価したすべての国際共同P3試験で最長の追跡調査となるCheckMate -816試験の4年生存率のデータが、6月2日にミニ口頭セッションで発表された。
中央値57.6カ月の追跡調査において、オプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法は、化学療法単独と比較して、引き続きEFSの改善を示した(中央値:併用療法群43.8カ月 vs 化学療法単独群18.4カ月;HR 0.66;95% CI:0.49-0.90)。
4年EFS率は、オプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法群で高いことが示された(併用療法群49% vs 化学療法単独群38%)。同解析において、全生存期間(OS)で統計学的に有意差は認められなかったものの、オプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法は、化学療法単独と比較して、引き続きOSの臨床的に重要な改善傾向を示した(HR 0.71; 98.36% CI:0.47-1.07)。
4年生存率は、オプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法群で71%、化学療法単独群で58%であった。OSについては引き続き追跡調査が実施される。同試験における肺がん特異的生存期間の探索的解析でも、オプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法が、一貫してOSの良好な改善傾向を示した(HR 0.62;95% CI:0.41-0.93)。最新の追跡調査において、オプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法で新たな安全性シグナルは認められなかった。
◆CheckMate -9LA試験の結果
進行・再発NSCLC患者のファーストライン治療において、化学療法2サイクルを追加したオプジーボとヤーボイ(イピリムマブ)の併用療法が、化学療法単独と比較して、持続的かつ長期の生存ベネフィットを示したCheckMate-9LA試験の5年間の追跡調査の結果が発表された。
最短57.3カ月の追跡調査において、免疫療法薬2剤による併用療法はOSを引き続き延長し、5年生存率は、化学療法2サイクルを追加したオプジーボとヤーボイの併用療法群で18%、化学療法単独群で11%であった(HR 0.73;95% CI:0.62-0.85)。PD-L1発現レベルが1%未満の患者(アンメットニーズが高い患者集団)における5年生存率は、化学療法単独群の8%に対して、化学療法2サイクルを追加したオプジーボとヤーボイの併用療法群で22%とより顕著に高い値を示した(HR 0.63; 95% CI:0.49-0.83)。
5年時点の解析では、化学療法を追加したオプジーボとヤーボイの併用療法群の19%で奏効が持続していたのに対し、化学療法単独群では8%であった。化学療法2サイクルを追加したオプジーボとヤーボイの併用療法のベネフィットは、すべての副次評価項目および関連サブグループ全体で維持された。
今回の最新の追跡調査において、化学療法2サイクルを追加したオプジーボとヤーボイの併用療法で新たな安全性シグナルは認められなかった。
オプジーボ単剤療法およびオプジーボを含む併用療法は、術前補助療法および進行・再発のがんの治療を含む4つのNSCLCの適応で承認されている。
◆Ian M. Waxman BMSバイスプレジデント兼腫瘍領域シニアグローバルプログラム責任者(M.D.)のコメント
NSCLCにおける研究開発の取組みは、免疫療法における継続的な強みと、困難な変異を持つ患者さんに新たな選択肢を提供する標的アプローチの両方によって特徴づけられている。今回のASCOでは、がんの再発を防止するために腫瘍の切除が可能な患者さんを含め、がんの早期段階において免疫療法の効果を示した試験を発表した。