アドセトリスとECADDの併用療法 ホジキンリンパ腫一次治療P3試験で好結果 武田薬品

 武田薬品は3日、アドセトリスとECADDの併用療法について、4年時点でのホジキンリンパ腫一次治療P3試験(HD21試験)の解析において良好な結果を得たと発表した。
 German Hodgkin Study Group(GHSG)が、アドセトリスとエトポシド、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ダカルバジンおよびデキサメタゾンの併用療法(BrECADD)との併用療法を評価するHD21試験において、4年時点での解析により、欧州における現在の標準治療レジメンと比較して、患者に対する優れた無増悪生存率(PFS)と忍容性の改善が示されたもの。
 これらの試験結果は、第60回米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会 (LBA7000) および第29回欧州血液学会(EHA)年次総会(S225)において、GHSGが公表する。
 アドセトリスは、抗体薬物複合体(ADC)で、ファイザー社の特許技術を利用し、プロテアーゼで切断可能なリンカーによって微小管阻害薬(モノメチルアウリスタチンE、MMAE)と結合させた抗CD30モノクローナル抗体を含んでいる。
 血流中では安定を保ち、CD30陽性腫瘍細胞の内部に移行する際にMMAEを遊離するようデザインされたリンカーシステムを採用している。
 武田薬品は、米国およびカナダ以外の地域においてHD21試験に基づいて承認申請する場合はその責任を負う。提携契約に基づき、ファイザー社は米国およびカナダにおける製造販売権を、武田薬品はその他の地域におけるアドセトリスの製造販売権を有する。
HD21試験は、GHSGが出資し、武田薬品が支援する、P3相、無作為化、国際共同、前向き、非盲検試験で、IIb/III/IV期古典的ホジキンリンパ腫と新たに診断された患者を対象に、アドセトリスとBrECADDの併用療法を、標準治療であるブレオマイシン、エトポシド、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プロカルバジンおよびprednisone(eBEACOPP)と比較して評価するもの。
 同試験では、事前に計画した3年時点の解析において、アドセトリス併用レジメンにより治療関連死亡率(TRMB)として評価した安全性の有意な改善とPFSの非劣性が示され、複合主要評価項目を達成した。
 同試験では、この化学療法レジメンにアドセトリスを追加することにより、併用療法のリスク・ベネフィット・プロファイルが改善され、急性および長期にわたる治療関連毒性が対照群よりも有意に少ない状態で有効性が維持されることが明らかになった。
 ASCOにおける今回の発表では、GHSGによって実施されたHD21試験の4年PFS解析の詳細を提示している。48ヵ月後、BrECADDはBEACOPPと比較して優れた有効性を示した[BrECADD群PFS:94.3%、eBEACOPP群PFS:90.9%、ハザード比(HR):0.66(95% CI:88.7-93.1; p<0.035)]。
 3年時点の解析ですでに報告されているように、BrECADDによる治療はBEACOPPと比較して治療関連罹患 (TRMB) の発現率の有意な低下(n=738、42% vs 59%、p<0.001)ならびに臨床的に意味のある有害事象(AE)の減少とも関連していた。
 BrECADD群におけるアドセトリスの安全性プロファイルは、承認された他のアドセトリス併用レジメンと一致しており、安全性に関して新たなシグナルは認められなかった。

◆Peter Borchmann HD21試験責任者(ケルン大学病院の, MD, PhD)のコメント
 新たに診断された患者さんの治療負担は大きくなることが多く、私たちは現在の標準治療で達成されている結果を改善するためにHD21試験を開始した。
 今回の解析では、アドセトリスレジメンが優れた無増悪生存率と忍容可能な安全性プロファイルを示しており、このアドセトリス+ECADDレジメンがこれらの患者さんに提供する重要な可能性が明らかにされている。

◆Awny Farajallah武田薬品グローバルオンコロジーのチーフ メディカル オフィサーのコメント
 当社は、リンパ腫の患者さんの転帰を改善するための継続的な取り組みにおいて、HD21試験でGHSGと連携し、新たな選択肢を必要としている患者さんに対してアドセトリスがどのような新しい価値をもたらすかについて理解を深めている。
 有効性を損なうことなく副作用を大幅に軽減できる可能性があるアドセトリス追加併用レジメンをお届けできる可能性があり、今回の結果がホジキンリンパ腫と新たに診断された患者さんにもたらすことができる影響について非常に期待を寄せている。

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