リンヴォック アトピー性皮膚炎対象のデュピクセントとの非盲検直接比較試験で好結果 アッヴィ

 アッヴィは、リンヴォックについて、アトピー性皮膚炎を対象としたデュピクセントとの非盲検直接比較試験(LEVEL UP試験)で良好なトップライン結果が得られたと発表した。
 LEVEL UP試験は、全身療法が効果不十分、または全身療法が推奨できない中等症から重症の成人および青少年(12歳以上)のアトピー性皮膚炎患者を対象としたリンヴォック(15mg 1日1回(QD)で投与を開始し、臨床反応に応じ用量調節)とデュピクセント(添付文書に基づく用量を投与)の安全性および有効性を比較評価したP3b/4相の非盲検、有効性評価者盲検化試験である。
 LEVEL UP試験では、主要評価項目において、ウパダシチニブはデュピルマブよりも優れた有効性を示しており、16週時に「EASI(Eczema Area and Severity Index、湿疹面積・重症度指数)スコアの90%以上の改善(EASI 90)」および「最悪のかゆみのNRS(Numerical Rating Scale、数値評価スケール)スコア0または1点(WP-NRS 0/1)」のどちらも達成した患者の割合がウパダシチニブ群で有意に高い結果となった(ウパダシチニブ群の19.9%に対し、デュピルマブ群では8.9%であった[p<0.0001])。
 EASIは、アトピー性皮膚炎の重症度と範囲の評価に用いられている臨床的に有効な指標である。一方、WP-NRSは患者が毎日のかゆみの程度を報告するために使用する評価ツールである(0点が「かゆみがまったくない」、10点が「想像できる範囲で最もひどいかゆみ」)。
 ウパダシチニブはすべての順位付けされた副次評価項目において、デュピルマブに対して優越性を示した。順位付けされた副次評価項目には、ほぼ完全な皮膚症状の速やかな改善や、かゆみがない/ほとんどない状態の速やかな達成が含まれており、最初の2項目の達成割合で、ウパダシチニブ群がデュピルマブ群よりも有意に高かった。最初の2項目の達成割合は、次の通り。

・16週時にEASI 90を達成[(40.8% 対 22.5%、p<0.0001)]。

・16週時にWP-NRS 0/1を達成[(30.2% 対 15.5%、p<0.0001)]。
 LEVEL UP試験で認められたウパダシチニブの安全性プロファイルは、これまでに行われたアトピー性皮膚炎を対象とするウパダシチニブ臨床試験の結果と一致していた。また、試験期間中に新たな安全性シグナルは認められなかった。第一リオドで最も多く報告された有害事象(AE)はウパダシチニブ群およびデュピルマブ群ともに鼻咽頭炎であった。重篤なAEの割合は、ウパダシチニブ群およびデュピルマブ群で差がなかった(0.9%)。
 デュピルマブ群では重篤な感染症が1件報告されたが、ウパダシチニブ群では報告されていない。。悪性腫瘍、判定された重大な心臓の有害事象、判定された静脈血栓塞栓事象(VTE)または治験薬投与下の死亡は、どちらの投与群でも報告されていない。
 これらのLEVEL UP試験結果については、今後の医学学会で発表される予定にある。

◆Roopal Thakkarアッヴィsenior vice president, chief medical officer, global therapeutics(M.D.)のコメント
 多くのアトピー性皮膚炎の患者さんは、既存の治療を受けていても依然として日常生活に大きな影響を及ぼし得る強いかゆみと炎症性の皮膚症状を抱えながら生活している。本試験の結果は、中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者さんが、かゆみがない、またはほとんどない状態、そして皮膚症状の改善の両方を目指せることを示している。

◆Jonathan Silverbergジョージ・ワシントン大学医学健康科学部の皮膚科学教授・臨床研究部長(M.D., Ph.D., MPH)のコメント
 アトピー性皮膚炎患者さんは、疾患の治療を行っているにも関わらず、病状が最適にコントロールされた状態に至らない方が非常に多い。LEVEL UP試験の結果からは、ウパダシチニブのような治療薬が単にかゆみの軽減や皮膚症状を改善するだけではなく、EASI 90かつかゆみNRSスコア 0/1という複合的な指標によって示されるアトピー性皮膚炎の高い治療目標を達成できることが示唆された。

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