アッヴィは9日、慢性片頭痛または反復性片頭痛予防治療薬「atogepant」について、P3試験で長期安全性および有効性を裏付ける最新データを取得したと発表した。経口投与における長期の安全性および忍容性を評価する進行中のP3相、非盲検、156週間継続試験の中間解析結果を公表したもの。70%の患者が、13~16週時に月間片頭痛日数の50%以上の減少を達成し、この達成率は48週間の非盲検投与期間中も持続している。これらの研究結果は、米国神経学会(AAN)年次総会のEmerging ScienceプログラムScientific Platform Sessionにおいて口頭発表される予定である。
全体的な長期安全性評価結果は、慢性片頭痛および反復性片頭痛におけるatogepantのこれまでに認められている安全性プロファイルと一致しており、新たな安全性のシグナルは認められなかった。また、これらの結果は、他の急性期治療薬の月間使用日数の減少など主要な有効性評価項目の改善も裏付けている。
同継続試験には、ベースラインの月間片頭痛日数が14.5日であった、P3相PROGRESS試験およびELEVATE試験に登録し、両試験を完了した患者さんを含めている。中間解析の主な結果は次の通り。
・投与13~16週の月間片頭痛日数は平均8.5日改善し、この改善は48週間にわたり持続。月間頭痛日数および急性期治療薬の月間使用日数でも同様の改善が認められた。
・70%の対象患者が13~16週時に月間片頭痛日数の50%以上の減少を達成、この達成率は48週間の非盲検投与期間中も持続
・全体的な安全性評価結果は、atogepant 60 mgのこれまでに認められている安全性プロファイルと一致しており、新たな安全性シグナルは認められなかった
・治験薬投与下で発現した報告頻度が特に高かった(5%以上)有害事象は、COVID-19(28.7%)、上咽頭炎(10.9%)および便秘(8.2%)
atogepantは、米国ではQULIPTA、欧州連合(EU)ではAQUIPTAとしても知られており、45か国で承認されている。同剤は、成人の反復性片頭痛および慢性片頭痛の両方を予防することが示された経口カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体拮抗薬で、アッヴィは、世界各国での承認申請を行っていく予定である。
◆同研究の筆頭著者であるSait Ashina氏(ハーバード大学医学部神経・麻酔科助教授、ベス・イスラエル・ディーコネス・メディカル・センター総合頭痛センター長, MD)のコメント
片頭痛は、日常生活に多大な影響を及ぼし得る消耗性の神経疾患である。今回の結果は、慢性片頭痛患者さんを対象とした1年間にわたるatogepant投与データに関する初回報告として、反復性片頭痛の対象集団で長期に観察された安全性および有効性のデータに基づいており、atogepant投与によりさまざまな種類の片頭痛における片頭痛日数および急性期治療薬使用の減少へつながる可能性があることを示している。
◆Dawn Carlsonアッヴィvice president, neuroscience developmentのコメント
我々は、片頭痛が複雑な疾患であることを理解しており、アッヴィは、片頭痛の患者さんが直面している大きな負担を軽減すべく取り組んでいる。患者さんは、片頭痛から解放されるべきであり、今回の中間解析で示された長期の安全性および有効性は、その目標に向けた新たな一歩となる。