アイクルシグ 米国FDAが化学療法併用下での成人急性リンパ性白血病の適応追加承認 武田薬品

 武田薬品は21日、アイクルシグについて、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ ALL)と新たに診断された成人患者の化学療法併用下での治療薬として、米国FDAより医薬品承認事項変更申請(sNDA)の承認を取得したと発表した。
 同適応症は、導入療法終了時の微小残存病変(MRD)陰性完全寛解(CR)率に基づく迅速承認において承認されたもの。同適応症の承認継続には、検証試験における臨床的有用性の確認と説明が条件となる場合がある。
 同迅速承認申請は優先審査指定を受け、リアルタイムオンコロジーレビュー(RTOR)プログラム(完全な申請書を提出する前に申請の構成要素の審査を可能にすることでがん治療薬の提供を迅速化することを目的とするFDAイニシアチブ)下で評価された。
 今回の承認は、Ph+ALLと新たに診断された成人患者を対象とした初のグローバルP3相登録直接比較試験であるPhALLCON試験のデータに基づいている。
 同試験では、患者に強度減弱化学療法併用下でアイクルシグまたはイマチニブのいずれかを投与し、主要評価項目である導入療法終了時のMRD陰性CR率を達成した。
 この評価項目は、FDAに準拠して定義された複合エンドポイントであり、深い分子的・臨床的奏効を反映し、Ph+ ALL患者さんの長期アウトカムの改善に関する重要な予後指標である。
 アイクルシグは、イマチニブと比較して優越性を示し、アイクルシグの投与を受けた患者は導入終了(サイクル3)時にMRD陰性CR率の2倍以上の改善を達成した。
 同試験において、アイクルシグの安全性プロファイルはイマチニブと同等であり、新たな安全性シグナルは確認されなかった。
 アイクルシグは、チロシンキナーゼ阻害薬であり、米国において、Ph+ ALLと新たに診断された成人患者の化学療法との併用下での治療に適応となる。同適応症は、導入療法終了時の微小残存病変(MRD)陰性完全寛解(CR)率に基づく迅速承認において承認された。
 同適応症の承認継続には、検証試験における臨床的有用性の確認と説明が条件となる場合がある。加えて、他のチロシンキナーゼ阻害薬が適応とならないPh+ ALLもしくはT315I陽性Ph+ ALL、少なくとも2種類以上のチロシンキナーゼ阻害薬による前治療に抵抗性または不耐性を示す慢性期(CP)のCML、他のチロシンキナーゼ阻害薬が適応とならない移行期(AP)もしくは急性転化期(BP)のCML、またはT315I陽性CML(慢性期、移行期、急性転化期)の単剤療法に適応とされている。
 アイクルシグはCP-CMLと新たに診断された患者の治療を適応としておらず、同患者の治療薬として推奨されない。

◆Awny Farajallah武田薬品のオンコロジーチーフ・メディカル・オフィサー(MD)のコメント
 今回のアイクルシグの適応拡大はとても喜ばしいマイルストーンであり、Ph+ ALLと新たに診断された米国の成人患者さんは、承認された標的治療薬を一次治療で使用できるようになる。
 当社は、アイクルシグが有するこれらの患者さんの治療における大きなギャップを埋める可能性が、FDAにより認められたことを嬉しく思っており、これによりこの希少かつ急速進行性のがん患者さんにもたらされるインパクトを目にすることを楽しみにしている。

◆PhALLCON試験の治験責任医師であるElias Jabbour氏(テキサス大学MD Anderson Cancer Center)のコメント
 Ph+ ALLはきわめて進行性の高いがんであり、患者さんは予後不良に苦しんでいる。変異の発生を抑制し、一次治療で深い反応を引き起こすことができる強力なTKIが長い間必要とされてきた。ポナチニブはこれらの要因に取り組む上で有用となり、長期アウトカムに影響を及ぼす可能性がある。

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