アステラス製薬は16日、ファイザーと共同開発中の抗体-薬物複合体(ADC)「パドセブ」とMSDの抗PD-1抗体「キイトルーダ」の併用療法について、厚労省が進行性尿路上皮がんの一次治療を対象とした優先審査品目に指定したと発表した。
同社が、本年1月に行った日本での局所進行性または転移性尿路上皮がん患者における一次治療の適応追加に関する承認申請に対し、厚生労働省から優先審査品目の指定を受けたもの。
承認された場合、この併用療法は、la/mUC患者の一次治療における標準治療である白金製剤を含む化学療法に代わる最初の治療選択肢となり、la/mUCの治療にパラダイムシフトをもたらす可能性がある。
優先審査品目は、医療上の有用性と適応疾患の重篤性に基づいて、厚生労働省により指定される。今回の優先審査品目の指定は、P3相EV-302試験(KEYNOTE-A39試験)の結果に基づいている。治療歴のないla/mUC患者において、パドセブとキイトルーダの併用療法群は、白金製剤を含む化学療法群と比較して、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)の2つの主要評価項目を達成し、統計学的に有意で臨床的に意義のある結果が得られた。
この併用療法群の安全性は、以前にEV-103試験で報告した結果と同様であり、新たな安全性の懸念は確認されていない。
同併用療法は、欧州では審査中であり、米国では2023年12月に承認を取得した。
膀胱がんは、世界で毎年約61万4000人が新たに罹患し、約22万人が死亡している。日本では、毎年約2万5000人が膀胱がんと診断され、2022年には約1万人が死亡したと推定されている。
アステラス製薬は、新たな治療選択肢を提供することにより、アンメットメディカルニーズの高い局所進行性または転移性尿路上皮がん患者の治療に一層の貢献をしていく。なお、同件によるアステラス製薬の通期(2024年3月期)連結業績への影響は織り込み済み。