人工知能・機械学習の活用や地政学的リスク要因でEmendoBio社のゲノム編集治療事業再編成決定 アンジェス

 アンジェスは29日、同社連結子会社「EmendoBio 社」のゲノム編集治療について、事業の再編成を進めることを決定したと発表した。
 EmendoBio社は、そのイスラエル子会社であるEmendoR&Dにおいて、ゲノム編集の安全な医療応用に欠かせない精度の高いヌクレアーゼを探索、最適化する技術プラットフォームの開発及びその臨床試験の準備などを行ってきた。
 ゲノム編集治療は、これまで治療法のなかった疾患の治療が可能になるなど、その研究開発に期待が寄せられている。EmendoBio社では、ゲノム編集治療の課題である狙った以外の場所を切断してしまう「オフターゲット効果」を回避する独自のOMNI ヌクレアーゼの開発を行っており、「オフターゲット効果」の発生が少ない独自のヌクレアーゼを多数開発している。さらに、OMNIヌクレアーゼの臨床試験への応用の嚆矢として、米国において ELANE 関連重症先天性好中球減少症の臨床試験の準備を進めてきた。
 これまでEmendoR&Dは、独自のOMNIヌクレアーゼの開発にあたり、その探索と最適化を労働集約的に行ってきたが、近時においては、これまで蓄積された大量のデータをベースに人工知能や機械学習を活用し、知識集約的な研究開発体制に移行することを検討している。
 こうした研究開発戦略の検討を踏まえ、2023年10月にガザ地区における紛争が勃発したこともあり、それにより顕在化した地政学的リスクも考慮した結果、研究開発体制の再編成を決定したもの。
 これに伴い、EmendoR&D の研究開発体制を労働集約型から知識集約型に進化させるべく、今回、同社は、EmendoR&D に人工知能の活用を中心とする研究開発機能を集約し、規模もそれに見合ったものに再編成するとともに、その他の機能を米国に段階的に移管し、米国の拠点化を一層促進していくい。イスラエルにおけるEmendoR&Dの施設は継続して使用するものの、研究開発人員を現状から半数以下に削減する検討を始める。
 一方、米国において臨床試験の準備を進めているゲノム編集製品並びに他のパイプラインの研究開発を加速するとともに、米国におけるEmendoBio社のゲノム編集技術の導出等を進める目的で、米国における体制を強化加速していく。米国における体制強化の具体的な内容については、今後適時に告知する。
 同件については、具体的な人員削減数、新たな研究開発体制等を策定しているところで、当該事業再編成に伴う2023年度の費用については発生の可能性はあるものの、現時点で詳細は見積り作成中である。今後開示すべき事項が決定された場合には速やかに告知する。

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