第一三共は29日、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd/DS-8201、抗HER2抗体薬物複合体[ADC])について、HER2陽性の複数の固形がんに係る効能拡大申請を米国FDAが受理し、優先審査の指定を受けたと発表した。FDAによる審査終了目標日(PDUFA date)は2024年5月30日に設定された。
同申請は、2023年10月開催の欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2023)で発表された前治療歴のあるHER2発現の進行性固形がん(胆道がん、膀胱がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、卵巣がん、膵臓がんおよび希少がん)患者を対象としたP2試験(DESTINY-PanTumor02)や、HER2過剰発現等の切除不能・転移性非小細胞肺がん患者を対象としたP2試験(DESTINY-Lung01)、HER2陽性の切除不能な進行・再発大腸がん患者を対象としたP2試験(DESTINY-CRC02)等の結果に基づくもの。
同本申請は、FDAのReal-Time Oncology Review(RTOR)プログラムおよびProject Orbisのもとで審査されている。RTORは、正式な申請前にFDAが申請データの審査を開始することができるプログラムで、Project Orbisは、複数の参加国間でがん治療薬の申請と審査を同時に行うための枠組である。
これらは臨床的意義のあるがんの治療法を患者にできるだけ早く届けることを目的としている。現在、HER2を標的として、がん種横断的に承認されているがん治療薬はない。
第一三共は、米国およびProject Orbisの参加国において、がん種横断的に新たな治療の選択肢を提供することで、多くのHER2陽性の固形がん患者に貢献できるものと期待している。