能登半島地震被災地に第1陣の支援薬剤師派遣 大阪府薬

乾氏

 大阪府薬剤師会は12日、定例記者会見を開催し、乾英夫会長が「1日に発生した能登半島地震の被災地に、大阪府薬から第1陣となる支援薬剤師を派遣した」ことを明らかにした。
 大阪府薬では、3日に災害対策本部を設置し、8日に児玉孝顧問(前日薬会長、元大阪府薬会長)が被災地入りし、情報収集に尽力。その後、9日に第1陣支援薬剤師として、伊藤憲一郎副会長と山原大輝理事の2名が輪島市に入った。
 乾氏は、「山岳僻地で甚大な被害を受けており、高齢化も進んでいて情報が錯そうしている。第1陣が現地でしっかりと救援活動しながら的確な情報を収集し、その上で大阪府薬として派遣する薬剤師が途切れないよう全力で支援したい」と強調した。
 大阪府医師会のJMAT(災害医療チーム)も13日より被災地に出動し、薬剤師1名も帯同する。同チームの医薬品は大阪府薬が手配した。
 定例会見では、薬局会員を対象に慢性的に不足している医療用医薬品の実態を明らかにするために実施した3回目の「医薬品の流通状況アンケート」調査結果が1月末に出ることも報告された。羽尻昌功常務理事は、「状況は全く良くなっていない。むしろ悪くなっている品目も増えている」と中間報告した。

被災地での救護班の様子

 全国からの支援薬剤師の派遣は、日本薬剤師会の災害対策本部のスキームに従って実施されている。現在、石川県珠洲市、輪島市、穴水町、宇出津町の4つの地域に災害拠点を置いて、日薬から派遣された薬剤師が薬局機能を搭載したモバイルファーマシー(災害対策医薬品供給車両)で、災害処方箋を応需している。

伊藤氏

 12日に被災地から帰阪した伊藤氏は、「現地にDMAT(災害派遣医療チーム)が入ったところなので、災害処方箋の量はそれほど多くなかった。薬剤は、DMATのオーダーに基づいて医薬品卸に発注し、今のところ2日後に届いている」と現況を説明する。
 その上で、「東日本大震災の時のように、薬が全く無い人はそんなに多くなかった。災害診療所は、まだ、立ち上がっていない」と語った。
 被災地に派遣された支援薬剤師は、モバイルファーマシーでの災害処方箋応需のほか、避難所でのOTC供給、お薬相談も実施している。
 伊藤氏は被災地の環境衛生にも言及し、「水が出ないところがあり、トイレ事情に苦労している」と話す。さらに、「支援薬剤も4拠点ですぐに宿泊所を確保することが出来なかったため、国立能登青少年の家に寝泊りして被災地入りしている」
 モバイルファーマシーの第1陣は、7日、石川県薬からの出動要請を受けた日薬を通じて岐阜薬科大学所有車両が珠洲市に入った。現在、これに加えて和歌山県薬(穴水町)、三重県薬(輪島市)、宮城県薬(宇出津町)、横浜薬科大学(宇出津町)、広島県薬( 珠洲市 )、静岡県薬(輪島市)の7車両が被災地入りしている。

堀越氏

 大阪府薬のモバイルファーマシーについて堀越博一常務理事は、「日薬のスキームに従って出動準備している。警察の臨時車両の登録も既に行っている。急性期の混乱した情報を整理して、要請が来れば出動する」と述べた。

大阪府薬のモバイルファーマシー

 大阪府薬の支援薬剤師は、2名、3泊4日を基本としており、12日に第2陣として宮田憲一副会長、菱谷博次専務理事が被災地入りした。第3陣以降は地域薬剤師会より公募する。
 乾氏は今後の支援薬剤師の派遣先にも言及し、「第一陣は輪島市であったが、日本薬剤師会のスキームに従って派遣していく」と述べ、「しっかりと被災地の医療を支えて、復旧・復興するように全力で取り組みたい」と力強く語った。

大阪府薬定例記者会見
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