エーザイは、アルツハイマー病治療剤「レケンビ」を国内で20日より発売を開始した。
同剤は、日本において本年9月25日に「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」の効能・効果で製造販売承認を取得。13日に開催された厚労大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会総会において、薬価基準収載および最適使用推進ガイドラインが了承された。日本での発売は米国に次いで2カ国目となる。
薬価は、200mg:1バイアル4万5777円、500mg:同11万4443円。患者(体重50kg)1人当たりの薬剤費は、年間298万円。ピーク時の売上高は発売9年度目の2031年度に986億円を予想している。エーザイが製造販売元として販売を行い、エーザイとバイオジェン・ジャパンが共同販促を行う。
「レケンビ」は、可溶性アミロイドβ凝集体(プロトフィブリル)に選択的に結合するとともに、Aβプラークの主要構成成分である不溶性アミロイドβ凝集体(フィブリル)にも結合し、脳内のAβプロトフィブリルおよびAβプラークを減少させると考えられている。
これらの作用により、アルツハイマー病(AD)の進行を抑制し、認知機能と日常生活機能の低下を遅らせることを実証し、承認された世界で初めてかつ唯一の治療薬である。
エーザイでは、「レケンビ」の承認条件に従い、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間、投与された全ての当事者を対象に特定使用成績調査(全例調査)を実施する。
また、医療関係者に対するアミロイド関連画像異常(ARIA)の管理とモニタリングの推進に向けた研修資材の提供をはじめ、添付文書や最適使用推進ガイドラインに則った適正使用を推進する。
エーザイとバイオジェンは、ADの早期治療に向けて、疾患の早期発見・診断を推進し、「レケンビ」を早期ADの当事者様にお届けするとともに、認知症との共生社会の実現に全力を尽くしていく。
◆内藤晴夫エーザイCEOのコメント
エーザイの価値創造の起点である日本において、アルツハイマー病の進行を抑制する世界初の治療薬であるレケンビの発売を迎えることができ、責任の重さを痛感している。
当事者にとって最適・最速のアルツハイマー病の診断・治療パスウェイ構築は最優先で取り組む課題であり、行政、認知症専門医、かかりつけ医、放射線科医、薬剤師、看護師、臨床心理士、放射線科スタッフ、医療事務関係者、介護者の密接なる連携が不可欠となっている。
我が国における本疾患の重要性を考え、かかるパスウェイが整備されることは急務と考えている。アルツハイマー病の未来を変える第一歩をステークホルダーズの皆様と共に踏み出す決意である。
◆クリストファー A. ヴィーバッハーバイオジェンの社長兼CEOのコメント
レケンビの発売はアルツハイマー病治療の新時代の幕開けを示すものであり、当事者ならびにご家族の方々が共に価値ある時間を過ごせる可能性が生まれるとともに、高齢者のケアにおける日本の位置づけを強固なものにするだろう。
パートナーであるエーザイと共に、医療関係者をはじめとする関係者の方々と協働し、早期介入により病気の進行に大きな影響を与えることを示すデータを蓄積し、早期診断を実現することに注力していく