Senior Scientist AwardにRobert D. Schreiber氏選出 武田薬品とニューヨーク科学アカデミー

2024年のアワードは腫瘍免疫学における優れた研究が受賞

 武田薬品とニューヨーク科学アカデミーは6日、 2024年のSenior Scientist Awardに、Robert D. Schreiberセントルイス・ワシントン大学Burskyヒト免疫・免疫療法センターディレクター(Andrew M. and Jane M. Bursky病理学・免疫学特別教授)が選出されたと発表した。
 Schreiber博士は、腫瘍免疫学およびサイトカイン生物学の分野における世界的権威。同氏の初期の研究は、がんに対する免疫応答においてサイトカインが果たす役割を明らかにするうえで重要な基盤となった。さらに、「がん免疫編集」の概念を提唱し、免疫系ががんを誘発、促進、予防するメカニズムを明示した。また、がん免疫療法を妨害する免疫細胞の新たなサブセットを同定した。
 一方、2024年のEarly-Career Scientist Awardは、コロンビア大学の生体医工学の助教授で、Herbert and Florence Irving腫瘍データ研究の助教授であるElham Azizi博士に贈られる。
 Azizi博士は、腫瘍微小環境における免疫機構の特性を把握するため、人工知能と機械学習を活用した一連の計算ツールとモデルを開発したことで知られている。
 博士の革新的な機械学習アルゴリズムは、ゲノム・データおよび画像技術に適用され、がん治療の改善や個別化医療の進展につながっている。Azizi博士の研究は、抗腫瘍反応に関わる免疫因子の同定や、腫瘍の進展を促進したり免疫療法への応答が生じたりする際の免疫状態を解明するために役立つ。
 博士の革新的なモデルにより、初めて、白血病に対する免疫療法への反応における決定因子が同定された。

◆Schreiber博士のコメント
 免疫系とがんの関係を研究しはじめたのは40年以上前である。私が今まで研究を続けてこられたのは、70名を超える同僚、技術者や研修生のおかげだ。小さな発見や失敗を重ねて研究を続け、ようやく、がんの研究や治療に変革をもたらすことができた。
 たとえ結果が出るまでに数十年がかかったとしても、科学の研究はやりがいがある。今回の受賞は、私たちの長年の努力が評価された、たいへん意義のあるものである。

◆Azizi博士のコメント
 今回の受賞は、統計的機械学習の革新を通じて、腫瘍免疫学の新境地を目指す私たちの取り組みが、高く評価されたものと考えている。Innovators in Science Award は、私やチームのみならず、腫瘍免疫学における新たなソリューションの創出のために様々な分野にわたって研究を続けるコミュニティを大いに鼓舞するものである。
 今回の受賞は、患者さんを救うというミッションを掲げる私とチームにとって、今後ますます新しいコラボレーションを模索し、高いリスクを伴う野心的な活動に挑戦する機会を与えてくれるだろう。

◆アンドリュー・プランプ武田薬品リサーチ&デベロップメントプレジデントのコメント
 Schreiber博士とAzizi博士の、がんと免疫療法の双方に対する免疫応答の理解を深められる画期的な研究に感銘を受けた。免疫療法によるがん治療は、両博士をはじめとする研究者の活躍により、目覚ましい進歩を遂げている。
 武田薬品は、絶え間ない科学研究を通じて、人々の生活や人生の向上を目指すという私たちの目標を共有する研究者を称えるため、 Innovators in Science Awardを支援している。

◆Nicholas Dirks NYASプレジデント兼 CEOのコメント
 がんは、世界第2位の死因である。私たちは武田薬品とともに、人体のもつ免疫系の力を結集させ、がんとの戦いに挑む研究の最前線に立つ研究者らを応援できることを誇りに思う。
 2024 Innovators in Science Award の受賞者は、人工知能、計算ツールや革新的な方法を用いてがんと戦い、がん免疫療法領域の進歩をもたらしている。受賞者にお祝いを申しあげるとともに、今後のさらなる発見に期待している。

タイトルとURLをコピーしました