武田薬品は9日、経口分子標的治療FRUZAQLAについて、治療歴を有する転移性大腸がん治療薬として米国FDAが承認したと発表した。対象は、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、およびイリノテカンを含む化学療法、抗VEGF療法、および抗EGFR療法(RAS野生型で医学的に適切な場合)の治療歴がある転移性大腸がん(mCRC)成人患者。
FRUZAQLAは、バイオマーカーのステータスにかかわらず、治療歴を有するmCRC患者さんの治療薬として、米国で承認された最初で唯一の3種類のVEGF受容体キナーゼすべてに対して選択性を有する阻害薬である。
今回の承認は、処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づく審査終了目標日であった本年11月30日の20日以上前に、優先審査により取得したもの。
FRUZAQLAの承認は、中国で実施され、JAMA誌に掲載されたFRESCO試験と Lancet誌に掲載された多地域でのFRESCO-2試験の、2つの大規模臨床第3相試験のデータに基づいている。これらの試験では、治療歴を有するmCRC患者を対象に、FRUZAQLA+最良支持療法とプラセボ+最良支持療法を検討した。
その結果、FRESCO試験とFRESCO-2試験はいずれも、主要評価項目および重要な副次評価項目を達成し、FRUZAQLAを投与した合計734人の患者において一貫した効果を示した。安全性プロファイルは試験間で一貫していた。
米国では、2023年に約15万3000人の新規CRC症例が診断され、すべての新規がん症例の7.8%を占める見込みである。診断時または治療後を問わず、CRC患者さんの約70%が転移性疾患を発現すると考えられる。転移はCRC関連死亡の主な原因である。
また、FRESCO試験およびFRESCO-2試験のデータは、本年6月に欧州医薬品庁(EMA)により受理されたフルキンチニブのEUでの製造販売承認申請(MAA)を支持するものであった。2023年9月に、日本のPMDAへの申請も行っている。
◆テレサ・ビテッティ武田薬品グローバル オンコロジー ビジネス ユニットプレジデントのコメント
依然として治療選択肢が限られており、予後不良な状況にある転移性大腸がん患者さんは、早急に新たな治療法を必要としている。FRUZAQLAは、10年以上もの間で初めて米国で承認されたバイオマーカーのステータスにかかわらず、化学療法を必要としない新規の治療選択肢である。
長い間、医療提供者と患者さんは転移性大腸がんの治療において選択肢が限られていた。FRUZAQLAは、患者さんのQOLに悪影響を及ぼすことなく、大きな延命効果をもたらす可能性がある。
◆Cathy Eng氏(ヴァンダービルト大学医療センター, M.D., FACP)のコメント
がんが転移している状態にある患者さんは多くの場合、病態およびこれまでに受けた治療により、脆弱し疲弊している。前治療にかかわらず延命効果をもたらす、化学療法を必要としない経口の治療選択肢は、転移性大腸がんの治療において非常に重要なニーズである。
大腸がんは非常に多様な疾患であり、転移したがん患者さんに進歩をもたらすことは難しい。適切な患者さんに新しいソリューションを提供できることを楽しみにしている。
◆Michael Sapienza Colorectal Cancer AllianceCEOのコメント
私たちは、転移性大腸がんの患者さん、その家族、ケアチームには身体的および精神的な負担があることを直接目にしてきた。患者さんへの新たな選択肢の提供に継続的な進歩がみられることをうれしく思っている。