神経精神疾患治療薬候補「MT-5356」 Kynexis社とライセンス契約締結 田辺三菱製薬

 田辺三菱製薬は8日、神経精神疾患治療薬候補「MT-5356」について、Kynexis社(オランダ)とライセンス契約を締結した。
 今回の契約締結により、田辺三菱製薬はKynexis社に全世界での開発・販売およびそれらに必要な研究活動の独占的実施権を許諾する。同契約に基づき、田辺三菱製薬は契約一時金を受領するとともに、今後、開発の進捗に応じたマイルストンおよび販売ロイヤリティを受け取る権利を有している。
 MT-5356は、田辺三菱製薬が創製したKynurenine aminotransferase 2(KAT-II)阻害剤である。KAT-IIは、トリプトファン代謝系の酵素であり、キヌレニンからキヌレン酸を生成する。キヌレン酸は統合失調症に伴う認知機能との関連性が示唆されている。
 同剤は、KAT-IIを阻害することにより脳内キヌレン酸濃度を低下させ、統合失調症の認知機能障害(Cognitive Impairment Associated with Schizophrenia: CIAS)を改善することが期待される。
 全世界で2000万人以上の人々が統合失調症に罹患しており、その大半が、程度の差こそあれ、統合失調症に伴う認知機能障害を呈していると推定されている。認知機能障害は、統合失調症患者、およびその家族にとって大きな負担となっており、改善には大きなアンメットニーズがある。
 KAT-IIをターゲットとするCIASの治療薬は無く、承認されればファーストインクラスの薬剤となる可能性がある。

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