キイトルーダ 非小細胞肺がんの周術期治療でFDAの承認取得 MSD

 MSDは2日、抗PD-1抗体「キイトルーダ」について、切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)に対する術前の化学療法との併用療法と、それに続く術後の同剤単独療法についてFDAの承認を取得したと発表した。キイトルーダのNSCLCに対する適応は6件目となり、オンコロジーポートフォリオにおける早期がんの適応を拡大した。
 承認は、American Joint Committee on Cancer(AJCC)第8版によるII期、IIIA期、IIIB期(N2)の切除可能なNSCLCを対象とし、キイトルーダと化学療法との併用療法による術前補助療法と、それに続く切除とキイトルーダ単独療法による術後補助療法を評価したP3相KEYNOTE−671試験のデータに基づくもの。
 同試験においてキイトルーダ群は、プラセボ+化学療法による術前補助療法と、それに続く手術とプラセボ単独による術後補助療法と比較して、この試験の2つの主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)と全生存期間(OS)を統計学的に有意に延長した。
 最初の中間解析で得られたEFSは2023年6月にニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌に掲載された。OSの詳細な結果は、スペインのマドリッドで開催された2023年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次総会で10月20日に発表された。
 キイトルーダとプラチナ製剤を含む化学療法の併用療法を術前補助療法として実施し、その後の切除とキイトルーダを単独で術後補助療法として投与した切除可能なNSCLC患者における副作用は、キイトルーダと化学療法の併用療法を受けたすべての種類のがん患者さんの副作用と概ね類似していた。
 重篤な、または死亡にいたる可能性のある免疫関連の有害反応は、どの器官系や組織にも発生する可能性があり、複数の体組織に同時に影響する場合がある。キイトルーダによる治療中または治療後のあらゆる時点で、肺臓炎、大腸炎、肝炎、内分泌疾患、腎炎、皮膚反応、実質臓器移植の拒絶反応、同種造血幹細胞移植の合併症など、免疫関連の有害反応が発生する可能性がある。
 ここに列記する重大な免疫関連の有害反応は、発生しうる重篤で命にかかわる免疫関連の有害反応をすべて網羅しているわけではない。キイトルーダの安全な使用のためには、免疫関連の有害反応の早期発見と管理が重要である。有害反応の重症度に応じてキイトルーダの投与を休薬または中止し、適宜コルチコステロイドを投与する。 キイトルーダは、重篤または命にかかわるインフュージョン・リアクション(点適時の過敏症反応)を引き起こす場合がある。作用メカニズムに基づき、KEYTRUDA®は、妊婦に投与されると胎児に悪影響を及ぼす可能性がある。

◆KEYNOTE-671試験の首席治験責任医師のHeather Wakelee氏(呼吸器腫瘍内科医、スタンフォード大学医学部教授)のコメント
 早期の非小細胞肺がん患者さんのアウトカムを改善する治療の選択肢が今も求められている。免疫療法によるレジメンでは、プラセボと化学療法によるレジメンと比較して全生存期間と無イベント生存期間が統計学的に有意に改善したことから、原発腫瘍4cm以上またはリンパ節転移のある切除可能な非小細胞肺がんの現在の治療パラダイムが変わる可能性がある。

◆Marjorie Green MSD研究開発本部グローバル臨床開発部門進行がん担当責任者シニアバイスプレジデントのコメント
 キイトルーダは、PD-L1の発現に関わらず、早期と転移性の両方の非小細胞肺がんの治療を変え続けている。今回の承認は、一定の早期非小細胞肺がん患者さんや医療従事者に重要で新たな治療の選択肢を提供するものであり、肺がんコミュニティーにとって大きな節目となる。

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