日本歯科医師会YouTube公式チャンネル 日本歯科医師会は、24日、「歯と口の健康シンポジウム2023」(協賛:パナソニック)をオンライン開催した。シンポジウムでは、「腸に到達する歯周病菌を防ぐ!歯周病のリスクとオーラルケア」をテーマに、天野敦雄氏(大阪大学大学院歯学研究科予防歯科学講座教授)、桐村里紗氏(内科医・認定産業医)、上田まりえ氏(MC・タレント)の3名によるトークセッションや歯を健康に保つためのブラッシング講座などを実施した。
主催者挨拶で高橋英登日本医師会会長は、「健康で長生きし、人生の最期の日まで‟自分の口でおいしく食べることができるようにすること”が本会の大きな役割と考えている」と述べた。
さらに、「骨太の方針 2023 において、‟生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)に向けた取組の推進”などが明記され、健康で長く社会で活躍する高齢者が増えていくためには、歯と口の疾病予防が未来の日本の発展を左右する鍵になる」と強調。
その上で、「これからも国民の健康を口腔からしっかり支えていきたい」と抱負を語った。
天野氏は、「口腔内のケアについて、丁寧に歯みがきをする人でも、汚れを完全に落とすことは難しい」と説明した。
歯周病については、「静かなる病気」と言われており、成人の約7割が歯周病に罹患している。厚労省の歯科疾患実態調査では、歯周病の罹患者が増加している」と紹介した。
また、「歯周病セルフチェック」リストを紹介し、実際に桐村氏と上田氏も回答し、上田氏は、「チェックがたった一つあるだけで、歯周病の可能性がある」ことを確認した。
続いて、天野氏は歯周病のメカニズムを説明するとともにがんや動脈硬化性疾患、糖尿病など多くの全身疾患と関連性があることを具体的に話した。
桐村氏は、「歯周病菌の一部は消化されず、胃を通過して腸に入りこみ、腸内細菌のバランスが崩れることで、全身疾患につながる可能性がある」と訴求した。
さらに、「腸内フローラと口内フローラの関係性は密接で、口内フローラが乱れて起こる疾患と腸内フローラが乱れて起こる疾患は、肥満や糖尿病、動脈硬化などとオーバーラップしている」と説明。
中でも、「歯周病菌の一種であるフソバクテリウム・ヌクレアタムが大腸がんの発がんや進行、転移に影響を与える可能性があることが分かってきており、大腸がんの患者に、3カ月間、歯周病を治療し、歯周病が改善した患者は、便中のフソバクテリウム・ヌクレアタムの菌量が減少した研究結果がある」と紹介した。
トークセッションの最後に天野氏は、歯周病を予防していくために、毎日のセルフケアとともに定期的に歯科医院でプロフェッショナルケアを受けることを勧めた。
なお、オンラインシンポジウムの全容は、日本歯科医師会YouTube公式チャンネル(https://www.youtube.com/watch?v=xH7C5Myqg1c)で配信している。