沢井製薬は23日、九州工場で製造する胃炎・胃潰瘍治療剤の後発医薬品「テプレノンカプセル 50mgサワイ」について、安定性モニタリングの溶出試験で不適切な試験が行われていたことが判明したと発表した。
同製品の安定性モニタリングの溶出試験において、別のカプセルに薬剤を詰め替えた上で溶出試験(承認書と異なる試験方法)を実施していたもの。 カプセルを詰め替えて実施した試験による規格内の結果をもって処理することが、上層部からの指示であると考えた試験担当者らにより、不適切試験が継続的に行われていた。
沢井製薬では、本年4月に九州工場で実施した同件製品の安定性モニタリングの溶出試験において、不適切試験の実施が発覚。その後、速やかに社内調査を開始するとともに、同年6 月、外部の GMP 専門家及び弁護士を含む特別調査委員会を設置した。7月には、使用期限内の全てのテプレノンを回収した。行政による九州工場の操業停止については、明確にしていない。
医療現場のさらなる医薬品不足も懸念
2020年12月、小林化工が製造した抗真菌薬(爪水虫治療薬)への睡眠導入剤成分の混入から端を発し、日医工の業務停止など各後発品メーカーのGMP遵守違反が次々と明らかになり、後発品の販売停止・回収等が頻繁に行われた。
当初、日医工の業務停止を受けて抗アレルギー剤の不足が多かったが、その後、降圧剤や、ビタミンD3、骨粗鬆症薬などの不足にまで影響が拡大。後発品不足は、それに替わる先発品不足も相まって、今や医薬品供給がままならない深刻な状況下に陥っている。今回のテプレノン回収に伴う医療現場への影響も懸念される。
沢井製薬は、「管理職以上の上層部が、不適切試験の実施を指示および黙認した事実は認められなかった」とした上で、「監督体制の不備により、本件不適切試験が実施されていることを検出することができず、長年にわたり不適切試験が継続されていた」と報告。
なお、九州工場のテプレノン以外の製品及び九州工場以外の他の同社工場の製品については、「不適切試験と同様の事象がないことを確認している」としている。