武田薬品は4日、WHOの予防接種に関する戦略的諮問委員会(SAGE)が、同社の4 価弱毒生デング熱ワクチン「QDENGA」の使用を推奨していることを明らかにした。
今後数ヵ月以内に、WHOは、SAGEの推奨を踏まえ、公的予防接種プログラムにおける QDENGA の使用に関する最終的なガイダンスを含むデング熱ワクチンに関するポジションペーパーを更新する。SAGEの推奨内容は、次の通り。
・ 同ワクチンは、公衆衛生上のインパクトを最大化し、血清反応陰性者における潜在的リスクを最小限に抑えるため、デング熱による疾病負担と感染率が高い地域での導入を検討すること。
• 6 歳から16歳の小児を対象とする。この年齢範囲で、デング熱による入院の発生率がピークに達する年齢の約1-2年前にワクチンを導入すること。2回接種とし、接種間隔は3 ヵ月とすること。
•同ワクチンは、よく検討された適切なコミュニケーションおよびコミュニティとの連携と併せて導入すること。
デング熱は、世界的に最も多い蚊媒介ウイルス性疾患の1つである。世界100カ国以上で流行しており、毎年3億9000万人が感染していると推定されている。
多くのデング熱感染症は、無症候性又は軽度の症状しか引き起こさないが、ときに重症化し、死に至る場合もある。デング熱は、ラテンアメリカ、カリブ海地域、東南アジアから帰国する旅行者の発熱の主な原因でもある。
SAGE は、第2世代デング熱ワクチンに関するWHOのガイダンスに従ってデザインされたP3相TIDES(Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study)試験を含む2万8000人を超える小児および成人を対象とした19件にわたる第 1、2、3相試験のデータをレビューした。
主要なTIDES試験では、主要評価項目である同ワクチン2回目接種後12ヵ月の追跡調査期間におけるウイルス学的に確認されたデング熱(VCD)に対する全体的なワクチン有効性(VE)が 80.2%で達成され、また評価に十分なデング熱症例数を有するすべての副次評価項目についても達成された5。
VCDによる入院に対するVEは90.4%であった。また、ワクチン接種後4.5年(2回目接種後54ヵ月)までの長期探索的解析結果から、QDENGA が全般的な予防効果を維持し、VCD に対するVE は61.2 %、VCD による入院に対するVEは84.1%であった。VE の観察結果は、血清型によって異なり、過去に報告された結果と一致していた。
QDENGAの忍容性は概ね良好であり、TIDES 試験ではこれまでに重要な安全性リスクは特定されていない。
QDENGAは、現在、欧州、インドネシアおよびブラジルの民間市場で小児および成人向けに販売されており、間もなくアルゼンチン及びタイでも販売される予定である。
◆Gary Dubin武田薬品グローバルワクチンビジネスユニットプレジデントのコメント
デング熱は、罹患率が上昇し続けており、その世界的な影響を看過できなくなっている。今週、WHOのSAGEは、デング熱の予防におけるQDENGAの使用に関する重要な推奨を発表した。我々は、SAGEのフィードバックを喜ばしく思い、今後数ヵ月以内にWHO から最終的な見解が発表されることを期待している。