エンタイビオ皮下注 活動期クローン病の維持療法で適応拡大承認所得 武田薬品

 武田薬品は25日、エンタイビオ皮下注について、中等症から重症の活動期クローン病の維持療法に関する適応拡大承認を取得したと発表した。
 対象は、中等症から重症の活動期クローン病の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)。
 同剤は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)を効能又は効果として、2023年3月に厚労省より製造販売承認を取得し、同年6月より発売している。
 今回の承認は、エンタイビオ皮下注の中等症から重症の活動期クローン病の維持療法としての有効性および安全性を評価した国際共同P3試験であるMLN0002SC-3031試験およびMLN0002SC-3030試験に基づくもの。
 現在、日本におけるクローン病の患者数は約7万人と推定されている。クローン病は最も代表的な炎症性腸疾患の一つで、再燃と寛解を繰り返す慢性の炎症が小腸や大腸を中心とした消化管のあらゆる部位に非連続的に認められる進行性の疾患である。
 よく見られる症状は、下痢、腹痛、発熱、体重減少、栄養障害。クローン病の正確な原因については明らかになっていないが、最近の研究では、遺伝素因や環境要因に加え、腸内細菌抗原に対する異常な免疫応答といった様々な因子が関与する多因子疾患と考えられている。
 エンタイビオは、消化管に選択的に作用する生物学的製剤で、α4β7インテグリンと特異的に拮抗し、α4β7インテグリンの腸粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)への結合を阻害するが、血管細胞接着分子1(VCAM-1)への結合は阻害しないようデザインされたヒト化モノクローナル抗体である。
 MAdCAM-1は、消化管の血管およびリンパ節に選択的に発現している。一方、α4β7インテグリンは、循環血液中の白血球サブセットに発現している。これらの細胞は、潰瘍性大腸炎とクローン病における炎症プロセスを調節するうえで重要な役割を果たしていることが明らかになっている。α4β7インテグリンを阻害することで、ベドリズマブはある種の白血球細胞が消化管組織へ浸潤することを制限できる可能性がある。

◆梶井 靖武田薬品R&D Japanリージョンヘッドのコメント
 今般、潰瘍性大腸炎の維持療法に加えて、クローン病の維持療法においても、エンタイビオの皮下投与製剤が承認されたことを大変うれしく思う。この承認により、クローン病の患者さんにおいても投与方法の選択肢が広がり、多様なニーズの充足とクオリティ・オブ・ライフの向上に貢献できるものと考えている。

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