MSDは8日、経口低酸素誘導因子2アルファ(HIF-2α)阻害剤WELIREGについて、前治療歴のある進行腎細胞がんを対象としたP3試験(LITESPARK-005試験)で、無増悪生存期間の主要評価項目を達成したと発表した。
WELIREGがエベロリムスと比較して有意に無増悪生存期間(PFS)を延長し、LITESPARK-005試験はWELIREGの良好な結果を示した最初のP3相無作為化比較試験となった。
LITESPARK-005試験は、PD-1/L1チェックポイント阻害薬と血管内皮細胞増殖因子チロシンキナーゼ阻害薬(VEGF-TKI)による治療後に進行した成人の腎細胞がん(RCC)の治療薬としてWELIREGを評価する試験である。
同試験の独立データモニタリング委員会による事前に規定された中間解析の結果、WELIREGは、エベロリムスと比較してPFSについて統計学的に有意かつ臨床的に意味のある延長が認められた。また、この試験の主な副次評価項目である客観的奏効率(ORR)についても統計学的有意差が認められた。
もう一つの主要評価項目である全生存期間(OS)についても改善傾向が認められたが、統計学的有意差はなかった。OSについては今後も解析を続けていく。
この試験におけるWELIREGの安全性プロファイルは、これまでに報告されている試験の結果と一貫していた。この試験結果は、今後の主要関連学会で発表するとともに、規制当局に提出していく。
WELIREGは、米国で初めて承認されたHIF-2α阻害剤である。P2相LITESPARK-004試験のORRおよび奏効期間(DOR)のデータに基づき、現在、米国、英国、カナダ、その他数カ国で、フォン・ヒッペル・リンドウ(VHL)病に伴うRCC、中枢神経系血管芽腫、または膵神経内分泌腫瘍(治療が必要なものの、ただちに手術を必要としない)成人患者の治療薬として承認されている。
その他の国々でもLITESPARK-004試験に基づき規制当局による承認審査が行われている。
LITESPARK-005試験は、RCCを対象としてWELIREGを評価する4件のP3試験からなる包括的な開発プログラムの1つ。このほかに、進行RCC対する二次治療を対象としたLITESPARK-011、一次治療を対象としたLITESPARK-012試験および術後補助療法を対象としたLITESPARK-022試験がある。
◆Marjorie Green MSD研究開発本部グローバル臨床開発部門進行がん担当責任者シニアバイスプレジデント(博士)のコメント
進行RCCは生存率が低く、PD-1/L1とVEGF-TKIによる治療後に進行した患者さんに対する治療として、疾患進行または死亡のリスクを低減するための新たな選択肢が求められている。
本試験は、PD-1/L1とVEGF-TKIによる治療後に進行したRCCに対する良好な結果を示した最初の第3相試験であり、ここ数年において、WELIREGは進行RCCに対する効果が期待できる新たな作用機序を有する薬剤である。この結果を規制当局と協議していきたいと考えている。