武田薬品は22日、キナーゼ阻害剤「カボメティクス」と抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体「アテゾリズマブ」の併用療法について、転移を有する去勢抵抗性前立腺がんを対象とした国際共同P3試験(CONTACT-02試験)において、主2つの主要評価項目のひとつである無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したと発表した。
CONTACT-02試験は、1種類の新規ホルモン療法による1回の前治療歴があり転移を有する去勢抵抗性前立腺がんで測定可能な軟部組織病変を有する患者を対象に2剤目の新規ホルモン療法と比較する国際共同P試験。
治験参加前の治療として1種類の新規ホルモン療法による1回の前治療歴がある転移を有する去勢抵抗性前立腺がん患者を対象としている。同試験では、カボメティクスおよびアテゾリズマブの併用により、標準治療である2剤目の新規ホルモン療法と比較しPFSを有意に改善した。
同試験で認められたカボメティクスおよびアテゾリズマブの安全性プロファイルは、それぞれの単剤で既知の安全性プロファイルと一致しており、併用レジメンによる新たな安全性への懸念は特定されなかった。
PFSと同時に評価されたもうひとつの主要評価項目である全生存期間(OS)は、今回の中間解析ではデータが十分に確認されなかったため、同試験は次のOS解析まで継続される。
全世界における2020年の悪性疾患罹患数のデータ(GLOBOCAN 2020)によれば、前立腺がんは乳がん、肺がん、大腸がんに次いで世界で4番目に多く、約140万人であり、新たに診断されたすべての悪性疾患の7.3%を占める。
カボメティクスは、Exelixis社によって創出され開発が進められた薬剤である。米国では、進行性腎細胞がんの治療、ニボルマブとの併用による1次治療としての進行性腎細胞がん、ソラフェニブ治療後の肝細胞がん、およびVEGFR標的治療歴のある局所進行性または転移性分化型甲状腺がんで、放射性ヨウ素不応性または不適格の12歳以上の成人および小児患者の治療の適応等で承認されている。EUやその他の国および地域においても承認を取得している。
日本では「カボメティクス」の製品名で、根治切除不能又は転移性の腎細胞がんに対する治療薬として、2020年3月に厚労省より製造販売承認を取得し、同年5月に発売。
さらに、2020年11月には、がん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞がんに対する治療薬として、2021年8月には根治切除不能又は転移性の腎細胞がんを対象としたニボルマブとの併用療法について適応追加承認を取得している。