「ADAMTS-13(遺伝子組換え)」製造販売承認申請 武田薬品

 武田薬品は17日、遺伝子組換えADAMTS-13(開発コード:TAK-755)について、16日付で先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)を効能効果として厚労省に製造販売承認申請を行ったと発表した。
 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は、フォン・ヴィレブランド因子(VWF)による血小板の接着および凝集に関連した致死的かつまれな血栓性微小血管症の一種であり、難病に指定されている。
 TTPは、先天性TTP(cTTP)と後天性(免疫性)TTP、(iTTP)に大別される。ADAMTS-13(遺伝子組換え) は、TTPを対象とした初めての遺伝子組換えADAMTS13製剤であり、cTTP治療薬として製造販売承認申請を行った。また、iTTP治療薬としても全世界で開発を進めている。
 今回の製造販売承認申請は、主に cTTPの患者(日本人5名を含む)を対象としたグローバルP3試験である281102試験(NCT03393975)およびP3b継続試験であるTAK-755-3002試験(NCT04683003)の中間解析結果に基づくもの。
 これらの試験において、ADAMTS-13(遺伝子組換え)は、cTTPの治療薬として有効性および安全性が評価された。
 cTTPは、フォン・ヴィレブランド因子(VWF)切断プロテイナーゼであるADAMTS13の欠乏により生じる希少な慢性かつ消耗性の血液凝固障害である血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)のサブタイプである。ADAMTS13の欠乏により血液中に超巨大VWFマルチマーが蓄積する。
 超巨大VWFマルチマーが蓄積すれば、コントロール不能な血小板の凝集および粘着が生じる。これは、体内の微小血管に異常な凝固を生じさせる可能性があり、溶血性貧血と血小板低値(血小板減少症)などの症状を呈する。
 国内のcTTP患者数は110~160人と推定されているが、奈良県立医科大学輸血部が集積している血栓性微小血管症レジストリには2021年時点でADAMTS13活性が10%未満でTTPと診断される症例が725例登録されており、うち69例がcTTP である。
 cTTPは、急性症状と慢性症状の両方を有し(脳卒中と心血管疾患を含む)、大きな疾病負荷と関連する。ADAMTS13の欠乏状態に起因する進行中の広範な臓器障害などの深刻な併存疾患のため、一般集団と比較した患者のQOLは大幅に低下し生存期間は短縮する。
 cTTPの治療薬として承認された薬剤はなく、急性症状の治療又は予防には新鮮凍結血漿が汎用されている。

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