小野薬品は18日、AI(人工知能)開発会社のアイエクセスと同社が保有するAI自然言語処理技術を用いて、PubMedに収載されている医学論文のトピック抽出分析AIシステム「MaTCH(Mapping out Trend Changes)」を共同で開発すると発表した。
PubMedは、世界の主要な医学系雑誌に掲載された学術論文の書誌情報を調べることができる無料の医学関連分野の文献データベース。
小野薬品のメディカルアフェアーズ統括部では、同システムを活用して診療上の課題を特定し、メディカル戦略の構築に向けて運用を開始している。
MaTCHシステムは、メディカルアフェアーズ活動に適合させた独自のトピック抽出モデルであるAI自然言語処理アルゴリズムを搭載し、PubMedに収載されている3500万件を超えるすべての医学論文を学習させた。
これにより、重要トピックの抽出、重要度のランク付け、重要トピック間の関連性等を時系列で可視化することができ、これまで人による読み取りでは困難であった膨大な医学論文全体の重要トピックを俯瞰的に捉え、過去から現在に至るまでの研究トピックを迅速に把握し、臨床上の課題の見落としを防ぐことが可能になる。また、埋もれている可能性があるアンメットニーズの発見も可能だ。
同システムで得られた結果を基に診療上の課題を特定し、メディカル戦略の計画立案に利用することによりメディカルアフェアーズ担当者個人の知識や経験などに由来したプロジェクト間の隔たりを是正し、的確かつ迅速な戦略立案も期待できる。
また、同システムは、メディカルアフェアーズ統括部での活用を経て最適化された後、小野薬品全社での活用に向けてシステムを発展させていく。
小野薬品は、「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」という企業理念の基に、グローバル化を見据えたIT基盤への刷新、創薬バリューチェーンの変革をはじめとしたデジタル・IT分野でも企業変革の実現を目指すとともに、イノベーションを推進し、革新的な新薬の創製により持続的な成長に向けて取り組んでいく。
アイエクセスは、独自の豊富なAI関連技術および可視化技術を活かし、最先端テクノロジ―によるITインフラの構築を実現するとともに、持続的にDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に取り組み社会に貢献していく。