アッヴィは10日、リサンキズマブについて、潰瘍性大腸炎に対する52週間のP3相維持療法試験(COMMAND試験)において主要評価項目と主な副次評価項目を達成したと発表した。
中等症から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有する成人患者さんを対象としたCOMMAND試験において、リサンキズマブ群(180 mgまたは360 mgを皮下投与)が、主要評価項目である52週時の臨床的寛解(Adapted Mayoスコアに基づき判定)および主な副次評価項目を達成したもの。
COMMAND維持療法試験では、寛解導入療法で奏功したP2b/3相INSPIRE試験の患者を再度、リサンキズマブ180mg皮下投与群、リサンキズマブ360 mg皮下投与群またはリサンキズマブ投与中止群[リサンキズマブの静脈内(IV)投与による寛解導入療法のみの対照群]に無作為に割り付けた。
患者の約75%は、これまでに潰瘍性大腸炎に対する1種類以上の先進治療(生物学的製剤、JAK阻害薬および/またはS1P受容体モジュレーター)が治療不成功の患者であった。
52週時に臨床的寛解を達成した患者の割合は、寛解導入療法のみの対照群では25%であったのに対し、リサンキズマブ180mg投与群では40%、リサンキズマブ360mg投与群では38%と有意に高い結果であった(p<0.01)1。
COMMAND試験において、52週時に内視鏡的改善を達成した患者の割合は、寛解導入療法のみの対照群では32%であったのに対し、リサンキズマブ180 mg投与群では51%、リサンキズマブ360 mg投与群では48%であった(p<0.001)。
また、52週時に組織学的・内視鏡的粘膜改善を達成した患者の割合は、寛解導入療法のみの対照群では23%であったのに対し、リサンキズマブ180 mg投与群では43%、リサンキズマブ360mg投与群では42%と有意に高い結果であった(p<0.001)。
52週時にステロイド不使用での臨床的寛解を達成した患者の割合も、寛解導入療法のみの対照群では25%であったのに対し、リサンキズマブ180 mg投与群では40%、リサンキズマブ360 mg投与群では37%と有意に高い結果であった(p<0.01)1。
◆COMMAND試験治験責任医師のStefan Schreiber氏(ドイツSchleswig-Holstein大学病院内科1部長internal , M.D.)のコメント
今回の良好な結果は、リサンキズマブが、日常生活に支障を生じうる困難な症状のある潰瘍性大腸炎患者さんを救うことが期待される治療薬であることを示唆している。リサンキズマブが、内視鏡的・組織学的転帰やその他多くの転帰を含め、達成が困難な多様な評価項目を達成したことは、新たな治療選択肢を必要としている潰瘍性大腸炎患者さんのニーズに応える、重要な進歩と言える。
◆Roopal Thakkarアッヴィsenior vice president, development, regulatory affairs 兼 chief medical officer(M.D.)のコメント
当社では、P3相COMMAND試験などの重要なプログラムを通して、重篤な消化器症状が及ぼす影響に対処するための研究開発を推進し続けている。
リサンキズマブは、中等症から重症の活動性クローン病の治療薬としてすでに承認されている。今回の結果は、この治療薬が、潰瘍性大腸炎に対しても有効な治療選択肢になり得ることを示すものである。