アッヴィ合同会社は26日、リンヴォックについて、既存治療で効果不十分な中等症から重症の活動期クローン病の寛解導入療法、および維持療法の治療薬として適応追加承認を取得したと発表した。
同承認は、中等症から重症のクローン病を有する成人患者さんを対象とした、日本人患者を含む複数の国際共同試験データから得られた結果に基づくもの。
リンヴォックは、低分子のJAK阻害剤で、1日1回投与の経口剤で、同承認取得により、リンヴォックは日本において、既存治療で効果不十分な関節リウマチ、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎、強直性脊椎炎、アトピー性皮膚炎、潰瘍性大腸炎に続く7番目の適応症を取得した。
クローン病は、10代、20代での発症が多く、日本国内の患者数は約7万人と推定され、年々増加傾向にある指定難病である。胃腸(または消化器)管に炎症が起きることにより、持続的な下痢や、腹痛、直腸出血をきたす慢性、全身性の疾患である。
進行性の疾患であり、時間経過とともに悪化する。さらに、クローン病の徴候・症状は予測できないため、患者にとって身体面だけでなく精神面、経済面でも大きな負担となることもある。
クローン病は、症状が良くなったり(寛解)悪くなったり(再燃)を繰り返すことが多く、長い経過の中で重症化し、入院や手術が必要になることも少なくない。
そのため、クローン病の治療では、できるだけ早期に治療をはじめ、疾患をコントロールして症状が落ち着いている状態(寛解)を維持し、患者のQOLを高めることが重要である。
だが、現状の治療法では初期治療が奏功しない一次無効や、治療奏功後に時間の経過と共に効果が減弱する二次無効となる患者も存在する。同承認取得により、こうしたクローン病患者のアンメットニーズに応える新たな治療選択肢の提供が可能となる。
これまで既存治療で効果不十分な中等度から重症の活動期クローン病に対する治療として承認されていた従来の生物学的製剤は、いずれも注射などの非経口投与であったが、リンヴォックは1日1回投与の経口剤であるため、患者の治療における負担軽減が期待される。