患者選好度の感度分析では経口剤好む傾向に
ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)は5日、全身療法を受けている中等度から重度の乾癬患者の治療選択時の選好に関する、離散選択実験(Discrete choice experiment:DCE)手法を用いた観察研究結果を公表した。
同研究は、乾癬患者にとって重要な治療因子を特定し、治療因子間の相対的な重要性を定量化することを目的として実施されたもの。研究結果は、Journal of Dermatologyに掲載されている。
同研究結果では、乾癬治療を受ける際の重要な要素として、「長期有効性」に対する相対的重要度(RI)が最も高く(RI = 42%)、「費用」が2番目に高いRI(24%)を示した。
また、3番目に高いRIを示した「投与方法」(RI = 13%)では、患者選好度の感度分析において、皮下注射剤よりも経口剤を好む傾向が見られた(図1)。
さらに、同研究のサブグループ解析では、特に重症度や居住地域によって異なる傾向が見られた。重症度に応じた中等度の乾癬患者(191例)と重度の乾癬患者(31例)のサブグループ解析結果(図2)では、重症度に関係なく、中等度患者および重度患者のどちらも「長期有効性(PASI-75)」のRIが最も高値を示したものの(中等度:48%、重度:42%)、中等度患者では「費用」(21%)、重度患者では「短期有効性」(21%)が2番目に高いRIを示した。
政令指定都市の乾癬患者(106例)と非政令指定都市の乾癬患者(116例)のサブグループ解析結果(図3)では、居住地域に関係なく政令指定都市の患者、非政令指定都市の患者どちらも「長期有効性(PASI-75)」のRIが最も高値を示した(政令指定都市:56%、非政令指定都市:42%)。
だが、RIが2番目に高い値を示した特性は、政令指定都市部の患者では「副作用(消化器系関連)」(14%)、非政令指定都市の患者では「費用」(28%)であり、政令指定都市部の患者と非政令指定都市の患者で異なった。
DCE調査を用いた乾癬患者の治療選好に関する研究について同研究は、生物学的製剤または経口剤で全身療法を受けている中等度から重度の乾癬患者を対象に、DCE調査を実施し、治療選択時の患者選好度を調査した国内コホート試験である。
同研究の調査期間は、2022年10月1日~2022年11月10日で、対象は20歳以上の生物学的製剤または非生物学的製剤(経口剤)による乾癬の全身療法を受けている中等度から重度の日本人乾癬患者222例(滴状乾癬、逆乾癬、膿胞性乾癬、乾癬性紅皮症、薬剤性乾癬を除く)で、治療薬の有効性、安全性、投与方法、投与頻度、利便性、治療費などの治療因子の選好についてオンラインによる定量調査を行った。
同研究では、患者インタビューで得られた治療因子の一覧をもとに、3種類の質問票を作成した。1つの質問票につき、12の質問項目と合理性を確認するための1つの質問が含まれた。対象者を3つの質問票から1つの質問票に無作為に割り付け実施し、各治療因子に対する相対的重要度(RI)と、各特性の水準に対する患者選好度について調査した。
◆本研究監修者の小宮根真弓氏(自治医科大学医学部皮膚科学講座教授)のコメント
本研究の結果から、有効性と同様に、治療にかかる費用や投与方法が、乾癬患者さんにとって治療を選択する上で重要な要素であることが示された。
乾癬治療の好みは患者特性や臨床的特性によって異なり、実臨床で治療を決定する際には、患者さんの声を考慮した共有意思決定が必要であることが示唆されたことは、乾癬治療を行う医療従事者や患者さんにとって意義があるものだ。