小野薬品は31日、ビラフトビカプセルおよびメクトビ錠について、甲状腺がんに対する適応追加承認申請を行ったと発表した。追加適応症は、ビラフトビとメクトビの2剤併用療法によるBRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺がん。
今回の承認申請は、BRAF 遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺がんの患者を対象に、日本国内で実施したP2試験(ONO-7702/7703-03)の結果に基づくもの。
同試験は、BRAF 遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺がんを対象に、日本国内で実施したビラフトビとメクトビの併用療法の有効性および安全性を評価した多施設共同非盲検非対照P2相試験(ONO-7702/7703-03)。
患者は、ビラフトビを1日1回(1回450 mg)、およびメクトビを1日2回(1回45 mg)、疾患の進行または安全性などの理由により投与できないと判断されるまで投与を受けた。
同試験の主要評価項目は、奏効率(画像中央判定機関による評価)。副次評価項目は、奏効率(実施医療機関による評価)、病勢制御率、全生存期間、無増悪生存期間等である。
ビラフトビは低分子BRAF阻害剤であり、メクトビは低分子MEK阻害剤です。BRAFおよびMEKは、MAPKシグナル伝達経路(RAS-RAF-MEK-ERK)における重要なプロテインキナーゼである。
この経路が、増殖、分化、生存および血管新生を含むいくつかの重要な細胞活性を調節することが示されている。同経路におけるタンパク質の不適切な活性化は、悪性黒色腫、結腸・直腸がん、および甲状腺がんを含む多くのがんにおいて生じることが報告されている。ビラフトビおよびメクトビは、どちらもこの経路の重要な酵素を標的としている。
日本では、小野薬品が2019年1月に両製剤の併用療法による「BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫」に対する効能又は効果で両剤の国内製造販売承認を取得し、同年2月より販売を開始した。
その後、2020年11月に両製剤と抗ヒトEGFRモノクローナル抗体であるセツキシマブの3剤併用療法、およびビラフトビとセツキシマブの2剤併用療法による「がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」に対する効能又は効果で追加承認を取得した。
海外においては、Array BioPharma Inc.(現、ファイザー社の子会社)およびそのパートナーであるPierre Fabre社が、米国およびEUで、2018年に「切除不能または転移性のBRAF V600 変異を有する悪性黒色腫」、および2020年に「治療歴を有するBRAF V600E 変異を有する転移性結腸・直腸がん」の適応症で承認を取得し、販売している。
小野薬品は、2017年5月にArray BioPharma Inc.(2019年7月30日よりファイザー社の子会社)とBRAF阻害剤のビラフトビ(エンコラフェニブ)およびMEK阻害剤のメクトビ(ビニメチニブ)に関するライセンス契約を締結し、日本および韓国で両製剤の開発および商業化の権利を取得した。