アストラゼネカは18日、タグリッソと化学療法の併用療法について、EGFR遺伝子変異陽性進行肺がんを対象としたP3相 FLAURA2 試験において、無増悪生存期間を有意に改善したと発表した。
局所進行(IIIB~IIIC 期)または転移性(IV 期)上皮増殖因子受容体変異(EGFRm)非小細胞肺がん(NSCLC)を対象にした同試験において、タグリッソと化学療法との併用療法が、タグリッソ単剤療法と比べて、無増悪生存期間(PFS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した。
タグリッソと化学療法との併用療法における安全性と有害事象による投与中止の割合は、各薬剤の確立されたプロファイルと一貫していた。なお、同解析時点では、全生存期間(OS)についてはイベント数が不十分であったため、今後の解析時に評価する。
世界で肺がんと診断される患者さんは年間220万人と推定されている。肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)と小細胞肺がん(SCLC)に大きく分けられ、80~85%が NSCLCと診断されている。
さらに、約70%の NSCLC 患者が進行がんと診断される。欧米ではおよそ 10~15%、アジアでは 30~40%のNSCLC患者が EGFR遺伝子変異を有している。
これらの詳しいデータは、近く開催される医学学会で発表され、各国の規制当局と共有される予定である。
タグリッソは、早期EGFRm NSCLCを対象としたP3相ADAURA試験、局所進行または転移性EGFRm NSCLCを対象としたP3相FLAURA試験の両試験において転帰改善を示しており、今回の結果はこれまでの EGFRm NSCLC におけるタグリッソの広範なエビデンスをさらに裏付けるものである。
また、早期および進行期において中枢神経系(CNS)転移への臨床活性が証明されている。アストラゼネカの肺がんの早期治療における継続的な取り組みの一環として、切除不能なNSCLC を対象に化学放射線療法後のタグリッソを検討したP3相LAURA試験が進行中で、この結果も今年後半に得られる予定である。
◆FLAURA2試験治験責任医師のPasi A.JänneDana-Farber氏(がん研究所の腫瘍内科医)のコメント
タグリッソの単剤療法は EGFRm NSCLC に対する世界的な標準治療として、この疾患における治療を変え、多くの患者さんに対して生存率改善の機会を提供してきた。
FLAURA2 試験の結果は、タグリッソと化学療法の併用療法が、タグリッソ単剤療法と比較して薬剤耐性および病勢進行の期間を遅らせたことにより、患者さんおよび臨床医にとって新たな選択肢として説得力のあるエビデンスを示した。
◆Susan Galbraithアストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントのコメント
今回のFLAURA2試験の素晴らしい結果は、タグリッソの一次治療を受ける患者さんに対して、病勢進行なく生存できる期間の延長に繋がる新しい治療選択肢となる可能性を示している。
これは、EGFRm NSCLC における本剤の臨床的ベネフィットの拡大を示してきた一連の試験に基づく大変意義のある結果である。