エーザイは16日、抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体「レカネマブ」について、早期アルツハイマー病(AD)における新薬承認申請をカナダ保健省が受理したと発表した対象は、脳内アミロイド病理が確認されたAD(ADによる軽度認知障害および軽度認知症)。
同申請は、レカネマブ投与による早期ADの臨床症状の悪化抑制を実証したP3相Clarity AD試験、P2b相試験(201試験)に基づくもの。レカネマブは、ADを惹起させる因子の一つと考えられている神経毒性を有するAβプロトフィブリルに選択的に結合し、脳内から除去することでADの病態進行を抑制する疾患修飾作用が示唆されている。 Clarity AD試験では、主要評価項目ならびに全ての重要な副次評価項目を統計学的に高度に有意な結果をもって達成した。Clarity AD試験の結果は、2022年11月に第15回アルツハイマー病臨床試験会議(CTAD)で発表し、同時に査読学術専門誌the New England Journal of Medicineにも掲載された。
レカネマブは、米国において迅速承認制度の下で承認され、2023年1月18日に発売された。同迅速承認は、レカネマブがADの特徴である脳内に蓄積したAβプラークの減少効果を示したP2相試験の結果に基づくもので、検証試験により臨床的有用性を確認することが本迅速承認の要件となっている。
FDAは、Clarity AD試験結果をレカネマブの臨床的有用性の検証試験として評価することに合意している。2023年1月6日にフル承認への変更に向けた生物製剤承認一部変更申請(supplemental Biologics License Application:sBLA)をFDAに提出し、3月3日に受理された。同申請は、優先審査に指定され、PDUFA(Prescription Drugs User Fee Act)アクションデート(審査終了目標日)は2023年7月6日に設定された。同申請について、FDAは6月9日に諮問委員会を予定している。
日本において、エーザイは、本年1月16日に、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に製造販売承認申請を行い、1月26日に厚労省より優先審査に指定された。同申請においては、審査期間の短縮をめざし医薬品事前評価相談制度を活用している。
欧州でも、本年1月9日に欧州医薬品庁(EMA)に販売承認申請(MAA)を提出し、1月26日に受理された。中国においては、2022年12月に国家薬品監督管理局(NMPA)に生物ライセンス申請(BLA)のデータ提出を開始し、本年2月27日に優先審査に指定された。
レカネマブについて、エーザイは、開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行う。