アッヴィは12日、ウパダシチニブについて、中等症から重症の活動性クローン病に対する最初の経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤の治療薬として欧州委員会より承認を取得したと発表した。
対象は、既存治療または生物学的製剤のいずれかで効果不十分、効果減弱または不耐容であった中等症から重症の活動性クローン病の成人患者。
ECによる今回の承認は、2つの寛解導入療法試験(U-EXCEEDおよびU-EXCEL試験)、ならびに維持療法試験(U-ENDURE試験)から得られたデータに基づくもの。
寛解導入療法試験におけるウパダシチニブ45mg、ならびに維持療法試験におけるウパダシチニブ15mgおよび30mgで、プラセボと比較して主要評価項目および主な副次評価項目について統計学的に有意差が認められた。
P3相プログラムの主要評価項目に関する結果については、内視鏡的改善では、U-EXCEEDおよびU-EXCEL試験において、12週時に内視鏡的改善を達成した患者の割合は、ウパダシチニブ45 mg群でそれぞれ35%および46%であったのに対し、プラセボ群では4%および13%であった。
U-ENDURE試験において、52週時に内視鏡的改善を達成した患者の割合は、ウパダシチニブ15mg群および30mg群でそれぞれ28%および40%であったのに対し、プラセボ群では7%であった。
臨床的寛解では、U-EXCEEDおよびU-EXCEL試験において、12週時に臨床的寛解を達成した患者の割合が、ウパダシチニブ45 mg群でそれぞれ40%および51%であったのに対し、プラセボ群では14%および22%であった。
さらに、U-ENDURE試験において、52週時に臨床的寛解を達成した患者の割合は、ウパダシチニブ15 mg群および30mg群でそれぞれ36%および46%であったのに対し、プラセボ群では14%であった。
クローン病におけるウパダシチニブの安全性プロファイルは、これまでに確認されているウパダシチニブの安全性プロファイルとおおむね一致していた。重篤な感染症を含む重篤な有害事象の発現率は、ウパダシチニブ群とプラセボ群で同様であった。
ウパダシチニブ群で最も多く認められた有害事象は、上咽頭炎、ざ瘡および新型コロナウイルス感染症であった。悪性腫瘍、主要心血管イベント、静脈血栓塞栓性イベントおよび消化管穿孔の報告は低頻度であった(100患者年あたり1.0件未満)。
ウパダシチニブはEUにおいて、X線基準を満たす体軸性脊椎関節炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎の成人患者、アトピー性皮膚炎の成人および青少年患者の治療薬として承認されており、さらに今回クローン病の治療薬として承認された。
◆Thomas Hudsonアッヴィsenior vice president, research and development, chief scientific officer(M.D.)のコメント
ECによるクローン病を対象としたウパダシチニブの承認は、内視鏡的改善や症状緩和の持続を可能とする最初で唯一の1日1回投与の経口治療薬を提供し、患者さんの日常生活に大きな変化をもたらし得る重要な節目となる。
既存治療では治療目標を達成するのに十分な疾患コントロールを得られない患者さんのため、我々は新たな治療選択肢によってIBD(炎症性腸疾患)ポートフォリオの拡大に挑戦を続けていく。
◆Laurent Peyrin-Birouletナンシー大学病院消化器内科教授・消化器内科炎症性腸疾患グループ長(M.D., Ph.D.)のコメント
クローン病は、日常的にしばしば不快で困難な状況を患者さんに強いることもある大きな負担となり得る疾患である。
これらの試験結果から、ウパダシチニブによって内視鏡的転帰や症状緩和など、患者さんにとって重要で長期の治療に有益である主な治療目標を達成する可能性が示された。