アッヴィは24日、リサンキズマブについて、潰瘍性大腸炎に対するP3相寛解導入療法試験で、主要評価項目と全副次評価項目を達成したと発表した。
中等症から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有する成人患者を対象としたP3相寛解導入療法試験(INSPIRE試験)において、リサンキズマブ群[0週、4週および8週時に1200 mgを静脈内(IV)投与]が主要評価項目である12週時の臨床的寛解(Adapted Mayoスコアに基づき判定)およびすべての副次評価項目を達成したもの。
同試験において臨床的寛解を達成した患者の割合は、リサンキズマブ群20.3%に対し、プラセボ群では6.2%であった(p<0.00001)。
INSPIRE試験は、既存治療や先進治療(生物学的製剤、JAK阻害薬およびS1P受容体モジュレーター)で不耐容または効果不十分であった患者を対象としている。
12週時に内視鏡的改善を達成した患者の割合は、プラセボ群と比較しリサンキズマブ群で有意に高い結果となった(リサンキズマブ群の36.5%に対し、プラセボ群では12.1%、p<0.00001)。
さらに、12週時に組織学的・内視鏡的粘膜改善を達成した患者の割合は、リサンキズマブ群の24.5%に対し、プラセボ群では7.7%であった(p<0.00001)。
一方、12週間の二重盲検、プラセボ対照期間中のリサンキズマブ(1200 mgをIV投与)の安全性プロファイルは、様々な適応症を対象としたこれまでの試験で認められたものと一致しており、新たな安全性リスクは認められなかった。
リサンキズマブ群で最も多く観察された有害事象は、新型コロナウイルス感染症、貧血および関節炎であった。重篤な有害事象が発現した患者の割合は、リサンキズマブ1200 mg IV投与群で2.3%、プラセボ群で10.2%であった。
重篤な感染症の発現率は、リサンキズマブ1200 mg IV投与群で0.6%、プラセボ群で1.2%であった。リサンキズマブ1200mg群の患者において、試験33日目に新型コロナウイルス感染症による肺炎による死亡が1例報告されている。
リサンキズマブ群において、主要有害心血管イベント(MACE)、アナフィラキシー反応および悪性腫瘍と判定、報告された事象はなかった。
なお、潰瘍性大腸炎に対するリサンキズマブの使用は承認されておらず、その安全性および有効性も規制当局による評価はされていない。現在、潰瘍性大腸炎に対する維持療法試験が進行中である。
リサンキズマブは、ベーリンガーインゲルハイムとアッヴィの業務提携の一環で、アッヴィが世界的に開発と販売を主導している。
◆Roopal Thakkarアッヴィsenior vice president, development, regulatory affairs 兼chief medical officer(M.D.)のコメント
我々は、消化器疾患を持つ患者さんへの貢献に、今後もますます注力していく。今回の良好な結果は、リサンキズマブに潰瘍性大腸炎の患者さんの臨床的転帰、内視鏡的転帰、組織学的転帰を改善する可能性があることを裏付けるものである。
◆INSPIRE試験治験責任医師のEdouard Louis氏(リエージュ大学病院消化器内科教授兼科長、M.D., Ph.D.)のコメント
INSPIRE試験において意義ある改善達成は素晴らしく、リサンキズマブには様々な炎症性腸疾患の治療選択肢となる可能性があることを示した。
今回の結果は、リサンキズマブが腹痛、便意切迫、便失禁などの潰瘍性大腸炎の困難な症状に患者さんが対処する際の助けになり得ることを示唆している。