第一三共は3日、2023年度入社式を開催し、奥澤宏幸代表取締役社長が新入社員に向けて挨拶を行った。挨拶の要旨は次の通り。
本日、皆さんと一堂に会せたことを大変嬉しく思う。今日から皆さんは、第一三共グループのパーパス「世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献する」、そしてミッション「革新的医薬品を継続的に創出し、多様な医療ニーズに応える医薬品を提供する」をともに実現・遂行していく仲間である。
「世界中の患者さんに優れた医薬品を届け、病に苦しむ人たちを救う」ことの大切さを胸に刻み、それを担うことに大いなる誇りを感じ、それぞれ配属される職場で邁進して欲しいと思う。
第一三共のミッション遂行を支える最大の強みは、「サイエンス&テクノロジー」である。第一三共の起源である、三共と第一製薬は、創業以来、創薬型企業として、ピーク時の年間売上高が1000億円を超えるブロックバスターを複数生み出し、経営統合後も、抗凝固剤「リクシアナ」、抗悪性腫瘍剤「エンハーツ」などを生み出してきた。
昨年、米国臨床腫瘍学会(ASCO 2022)の最重要演題が発表されるプレナリーセッションで、エンハーツのHER2低発現乳がんの適応取得根拠となった「DESTINY-Breast04 試験」の解析結果を発表した際には、本解析結果に対し、学会参加者から、本学会では稀と言われるスタンディングオベーションが送られた。
また、エンハーツの薬効と当社独自のADC技術が評価され、バイオインダストリーの発展に強いインパクトが期待される業績に送られる「第6回バイオインダストリー大賞」と、世界的に知られているScrip Awards の日本版である「ファーマインテリジェンス・アワード・ジャパン」において、一年間に最も注目を集めた企業に送られる「Pharma Company of the Year」を受賞した。
こうした取り組みの中で、当社の売上高は1兆円を超え、日本企業の時価総額ランキングで10位以内に入り、医薬品セクターの中では1 位となった。
皆さんもこの第一三共で、病に苦しむ人を救う一員として、成長していかれることを楽しみにしている。
そして、2030年ビジョンである「サステナブルな社会の発展に貢献する先進的グローバルヘルスケアカンパニー」をともに目指していこう。2021年度からスタートした第5期中期経営計画は、ESG 経営のもと、2025年度目標「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」を達成し、2030年ビジョン実現に向けた成長ステージに移行するための計画と位置付けている。
近い将来、「デジタル革新」と「多様な人々の創造力」によって新たな価値が創造される社会が生まれることが予想される。当社は、多様なデータや先進技術を活用し、一人ひとりに寄り添った最適なサービスを提供する社会の実現に向けて「Healthcare as a Service」に取り組んでいく。
「Healthcare as a Service」が望まれる社会において、高いデジタルリテラシーを持つみなさんの柔軟な発想に期待している。
また、2020 年以来、現在に至るまで世界は COVID-19の影響を大きく受けている。人々が健康であることの重要性と我々製薬企業が担っている責任の大きさを再認識し、第一三共がグローバルな製薬企業としてどのようにサステナブルな社会の発展に貢献していくべきか、皆さんも深く考えていただければと思う。
私は、「少資源国である日本からユニークな製品を届けたい」という思いで、三共に入社した。エンハーツや Dato-DXdという自社のグローバル製品を武器として、これほど大きな躍進が出来ることは、私にとっても初めての経験である。
その一方で、私も順風満帆な社会人生活を送った訳ではなく、日々悩みながら挑戦を重ねてきた。皆さんもこれからの長い人生の中で多くの失敗があると思う。しかしながら、失敗は必ず活かしていけるものなので、決して挫けることなく、前を向いて困難を一緒に乗り越えていこう。
社員によく伝えていることだが、皆さんにも、現状を打破して求める結果を達成するまで、自身が問題の当事者であると考えて、主体的に行動しようとする意識(アカウンタブル マインドセット)を持って頂きたいと思う。
そして、会社のパーパスと自身のパーパスが重なり合う部分を見出し、仕事を通して個人的な夢も実現して欲しいと願っている。皆さんの成長と活躍を楽しみにしている。