オプジーボと化学療法の術前補助療法 小細胞肺がんP3試験で長期的・持続的臨床ベネフィット 小野薬品

 小野薬品は3日、オプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法について、P3相CheckMate -816試験の3年間の追跡調査において、切除可能な非小細胞肺がん患者に対して長期的かつ持続的な臨床ベネフィットを示したと発表した。提携するブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)が3月30日(米国現地時間)に発表したもの。
 同結果では、切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者の術前補助療法として、オプジーボとプラチナ製剤を含む化学療法の併用療法の3回投与が持続的な臨床ベネフィットを示した。
 中央値41.4カ月の追跡調査において、オプジーボと化学療法の併用療法は、再発、病勢進行または死亡のリスクを32%低減し、3年間の無イベント生存期間(EFS)率は、オプジーボと化学療法の併用療法群で57%、化学療法単独群では43%であった(ハザード比[HR]0.68;95% 信頼区間[CI]、0.49 – 0.93)。
 また、無作為割付け日から遠隔転移を最初に認めた日、または遠隔転移がないまま死亡した日までの期間と定義した遠隔転移または死亡までの期間(TTDM)では、オプジーボと化学療法の併用療法群は、化学療法単独群と比較して、引き続き良好な結果を示し(HR 0.55;95% CI, 0.39 – 0.78)、3年間のTTDM率はオプジーボと化学療法の併用療法群で71%、化学療法単独群では50%であった。
 同解析では、全生存期間(OS)のデータは未完成であったものの、オプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法は、化学療法単独と比較して、引き続き良好な改善傾向が認められた(HR 0.62; 99.34% CI:0.36 – 1.05)。
 3年時点での生存率は、オプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法で78%、化学療法単独で64%であった。OSの解析は、引き続き継続して実施される。これらの最新の結果は、2023年3月29日~4月1日に開催された2023年欧州肺がん学会(ELCC)のプロファード・ペーパー・口頭セッションで発表された。
 探索的解析には、外科的アプローチによるEFS、切除範囲または完全性によるEFS、およびベースライン時の腫瘍サンプルのRNAシーケンスに基づく4遺伝子(CD8A、CD274、STAT-1、およびLAG-3)の炎症シグネチャースコアによるEFSおよび病理学的完全奏効(pCR)が含まれた。
 オプジーボと化学療法の併用療法群は、化学療法群と比較して、外科的アプローチや切除範囲にかかわらず、手術を受けた患者および腫瘍を完全切除(R0)した患者において、3年時点でEFSの改善を引き続き示している。
 オプジーボと化学療法の併用療法群において、ベースライン時の4遺伝子の炎症シグネチャースコアは、pCRが認められた患者では、認められなかった患者と比較して数値が高く、ベースライン時の炎症スコアがより高い患者では、スコアが低い患者と比較して、併用療法によってEFSが改善する傾向が見られた。
 3年間の追跡調査において、オプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法の安全性プロファイルは、主要解析時のものと一貫しており、新たな安全性シグナルは認められなかった。
 グレード3~4の治療および手術に関連する有害事象の発現率は、オプジーボと化学療法の併用療法群で各々36%および11%、化学療法群で各々38%および15%であった。
 CheckMate -816試験のpCRデータは、2021年米国がん学会(AACR)年次総会 で最初に発表された。EFSの結果およびOSの予備データは、2022年 AACR年次総会 で発表された。
 また、pCR、EFSおよびOSの予備データの主要解析は、以前にニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌に掲載された。
 CheckMate -816試験では、OSを含む主な副次評価項目の評価が進行中であり、引き続きデータの収集を進めていく。

◆CheckMate -816試験の治験担当医師であるNicolas Girard(Thorax Institute Curie-Montsouris教授兼部門長)のコメント
 CheckMate -816試験の今回の最新の結果は非常に重要なものであり、オプジーボと化学療法の併用療法の術前投与が3年間にわたり持続的な有効性をもたらすことを示し、再発率が高く、手術のみでは治癒できないNSCLCの大多数の患者さんに希望を与えるものである。
 免疫療法薬による併用療法の術前補助療法で最初の肯定的なP3相試験として、CheckMate-816試験の結果は、切除可能なNSCLCを研究する科学界にこれまでも貴重な知見を与えてきた。
 今回、この併用療法が様々なタイプの患者さんの再発や病勢進行の予防に役立つことを示すとともに、OSの良好な延長傾向も示された長期間のデータにより、このレジメンは非転移性NSCLCの治療法を変えようとしている。

◆Abderrahim Oukessou BMSバイスプレジデント兼胸部がん領域開発担当(M.D.)のコメント
 CheckMate-816試験の顕著で持続的な結果は、切除可能なNSCLCのような高いアンメットニーズが残る胸部がんを含め、早期ステージのがんにおける当社の研究への取り組みを後押しし、早期治療に向けた新たな治療選択肢を見出す私たちの期待を高めるものである。
 BMSは、この革新的なサイエンスの最前線に立ち、切除可能なNSCLCの術前補助療法として最初の免疫療法薬による治療の可能性を裏付ける新たなデータが得られたことを誇りに思う。このサイエンスによって、再発、病勢進行および死亡のリスクの低減を可能とし、患者さんに持続的かつ長期にわたる予後をもたらしていく。

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