住友ファーマは23日、国立国際医療研究センター(NCGM)とベトナムにおける抗菌薬適正使用と薬剤耐性(AMR)対策に貢献するため、共同で第2回となる薬剤感受性サーベイランス研究を開始したと発表した。
近年、薬剤耐性の問題は国際的に取り組むべき社会課題として認識されている。特にベトナムでは、緑膿菌やアシネトバクター属を代表とする各種グラム陰性桿菌の抗菌薬に対する耐性率が非常に高いとの報告があり、その改善が喫緊の課題となっている。
こうした背景のもと、2019年に両者が始動した本研究(第1回)では、ベトナム国内の10病院施設を対象に合計1200株を超える重要グラム陰性桿菌 4 菌種(大腸菌、肺炎桿菌、緑膿菌、アシネトバクター属)の新鮮臨床分離株を収集し、ベトナムで臨床使用される主要抗菌薬に対する感受性を測定、病院施設ごと・地域ごと等の最新の薬剤耐性状況を調査した。
得られたデータに基づいたアンチバイオグラムを共有すると共に、先進国で普及している PK-PD 理論活用に関する技術訓練など、各病院施設がエビデンスに基づいて抗菌薬を選択・使用するためのキャパシティービルディングに取り組み続けている。
薬剤感受性サーベイランス研究は、継続的な実施により疫学情報をアップデートすることが重要である。ポストコロナを見据えて対面での日越交流が再開されつつある中、ベトナム保健省の認可のもと、第2回となる同研究を実施する運びとなった。
第1回から継続して参画する10 病院施設を含む計11病院施設を対象とし、初回研究の結果を踏まえ、より現地の医療ニーズに沿った研究内容への補強を図るとともに、現地への社会実装を重視した新たな研究実施体制により実施する。
同研究(第 2 回)の開始に当たり、2月12 日にベトナム・ハノイ市にて、ベトナム保健省や在ベトナム日本国大使館をはじめとする日越のステークホルダーを招いてキックオフセレモニーが開催された。
なお、同セレモニーは、日越の交流と医療発展を一層促進する性質から、日越外交関係樹立50周年事業および日本ASEAN友好協力50周年記念事業の認定を受けての開催となった。
住友ファーマは、同研究の継続的な共同実施とその結果の共有を通じて、各医療機関が治療に最適な抗菌薬を選択する際の判断材料として、日常検査における薬剤感受性データ活用の重要性認識のさらなる浸透を目指す。
NCGM は、こうした産学官連携を通じて、新しい研究開発プロジェクトを生み出す場としての国際臨床研究プラットフォーム運営をより積極的に展開しつつ、感染症や難病、顧みられない疾患をはじめとする多種多様な疾患における国際臨床試験を通じた医薬品の研究開発促進事業を展開。
加えて、公益性の高い企業活動を後押しし、日本の国際医療展開と産業振興に貢献してく。