MSDは21日、キイトルーダと標準化学療法(カルボプラチンおよびパクリタキセル)との併用療法について、P3相NRG-GY018試験において、ミスマッチ修復機構の状態にかかわらずIII/IV期または再発子宮内膜がんの一次治療として、主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)延長を達成したと発表した。
独立データモニタリング委員会による事前に規定された中間解析にもとづき、ミスマッチ修復機構が正常な(pMMR)子宮内膜がんとミスマッチ修復機構が欠損している(dMMR)子宮内膜がんに対し、キイトルーダと化学療法の併用療法を実施後、キイトルーダ単剤を6週間おきに最大14サイクル投与することで、化学療法単独の場合と比較してPFSに統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長が認められた。
この試験におけるキイトルーダの安全性プロファイルは、これまでの試験で認められているものと一貫しており、新たな安全性の懸念は特定されなかった。
この結果については、今後様々な腫瘍関連学会で発表するとともに、各国の規制当局への承認申請を予定している。
同試験は、米国国立衛生研究所(NIH)傘下の国立がん研究所(NCI)が資金提供して行ったもの。NRG Oncologyが主導し、NCIの助成とNational Clinical Trials Network(NCTN、NCI臨床試験ネットワーク)の全グループの参加を得て実施された。Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., U.S.A.(米国とカナダ以外ではMSD)は、NCIとの間で締結した共同研究開発契約(CRADA)を通して資金の提供と支援を行った。
Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., USAは子宮内膜がんについて、包括的な臨床開発プログラムを行っている。キイトルーダは米国で、子宮内膜がんに対する2件の承認を取得している。エーザイとの提携に基づくレンバチニブとの併用療法は、治療ラインにかかわらず全身療法後に増悪し、根治的手術または放射線治療が不適応でpMMR(FDAが承認する検査で判定)を有するか、または高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有さない進行子宮内膜がんに対するものである。
また、単剤療法は、同じく治療ラインにかかわらず全身療法後に増悪し、根治的手術または放射線治療が不適応なMSI-HまたはdMMR(FDAが承認する検査で判定)を有する進行子宮内膜がんに対するものだ。
さらにMSDは、進行子宮内膜がんの一次治療におけるキイトルーダの単剤療法(KEYNOTE-C93/ENGOT-en15/GOG-3064)およびLENVIMAとの併用療法(LEAP-001/ENGOT-en9)、術後補助化学療法(KEYNOTE-B21/ENGOT-en11/GOG-3053)についてキイトルーダの評価を進めている。
◆同試験治験責任医師Ramez Eskander氏(カリフォルニア大学サンディエゴ校婦人科がん専門医)のコメント
進行または再発子宮内膜がんは米国で最も多い婦人科がんであるが、予後は不良で治療の選択肢も限られている。特に、プラチナ製剤による術後補助化学療法後に進行し、手術や放射線治療が不適応な患者さんにおいてこの状況は顕著である。
この試験で、ペムブロリズマブとカルボプラチンおよびパクリタキセルとの併用において、dMMRとpMMRの双方の集団でPFSについて統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長が認められた。この有望なデータを今後の腫瘍関連学会で発表する予定である。
◆Eliav Barr MSD研究開発本部シニア・バイス・プレジデント、グローバル臨床開発責任者、最高メディカル責任者のコメント
進行子宮内膜がんで全身療法を受けた後に進行し、手術や放射線治療の対象とならない患者さんにとって、キイトルーダは単剤療法および併用療法で重要な治療の選択肢となっている。
新たに得られた一次治療のデータは非常に有望で、ミスマッチ修復機構の状態に関わらずIII/IV期または再発子宮内膜がんのキイトルーダと化学療法との併用療法としての可能性が示された。