小野薬品は20日、オプジーボによる術後補助療法について、P3相CheckMate -274試験の3年間の追跡調査において、根治切除後の高リスク筋層浸潤性尿路上皮がんに対して有意かつ持続的な臨床ベネフィットを引き続き示したと発表した。同社が提携するブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)が17日に公表したもの。
CheckMate-274試験の3年間の追跡調査では、切除後の高リスク筋層浸潤性尿路上皮がん患者の術後補助療法として、オプジーボの有意かつ持続的な臨床ベネフィットが示された。
中央値36.1カ月間(最短31.6カ月)の追跡調査において、オプジーボによる術後補助療法は、プラセボと比較して、全無作為化患者およびPD-L1発現レベルが1%以上の患者における無病生存期間(DFS)、非尿路上皮無再発生存期間(NUTRFS)、無遠隔転移生存期間(DMFS)および2次治療までの無増悪生存期間(PFS2)の改善を引き続き示した。
これらの最新結果は、2月16~18日に開催された2023年米国臨床腫瘍学会の泌尿器がんシンポジウム(ASCO GU)で発表された。CheckMate-274試験の3年間の追跡調査の結果は次の通り。
・DFS(主要評価項目):全無作為化患者において、オプジーボは、疾患が再発することなく患者が生存した平均期間を2倍以上延長した。無病生存期間の中央値は、プラセボ群の10.9カ月に対し、オプジーボ群では22.0カ月で、再発リスクを29%低減した(ハザード比 [HR] 0.71、95%信頼区間 [CI]:0.58 – 0.86)。
リスク低減率は、主要解析時の結果と一貫しており、最短25.7カ月の追加の追跡調査による差はわずか1%であった(主要解析時の最短5.9カ月の追跡調査では、リスク低減率は30%でした;HR 0.70)。
PD-L1発現レベルが1%以上の患者において、オプジーボは、プラセボと比較して、疾患が再発することなく患者が生存した平均期間を6倍以上延長した。
DFSの中央値は、オプジーボ群で52.6カ月、プラセボ群で8.4カ月(HR 0.52、95% CI:0.37 – 0.72)であり、再発または死亡のリスクを48%低減した。
・NUTRFS(副次評価項目):全無作為化患者において、膀胱、尿管または腎盂以外で疾患が再発することなく患者が生存した期間として定義されるNUTRFSの中央値は、オプジーボ群で25.9カ月、プラセボ群で13.7カ月であった(HR 0.72、95% CI:0.59 – 0.88)。
PD-L1発現レベルが1%以上の患者におけるNUTRFSの中央値は、オプジーボ群で52.6カ月、プラセボ群で8.4カ月であった(HR 0.53、95% CI:0.38 – 0.74)。
・DMFS(探索的評価項目):全無作為化患者において、原発腫瘍から遠隔臓器またはリンパ節への転移なく患者が生存した期間として定義されるDMFSの中央値は、オプジーボ群で47.1カ月、プラセボ群で28.7カ月であった(HR 0.74、95% CI:0.60 – 0.92)。
PD-L1発現レベルが1%以上の患者におけるDMFSの中央値は、オプジーボ群で未達、プラセボ群で20.7カ月でした(HR 0.58、95% CI:0.40 – 0.84)。
・PFS2(探索的評価項目):無作為化から後続全身療法後の病勢進行、2番目の後続全身療法の開始、あるいは死亡までの期間として定義されるPFS2の中央値は、全無作為化患者集団において、オプジーボ群で61.2カ月、プラセボ群で47.1カ月であった(HR 0.79、95% CI:0.63 – 0.98)。PD-L1発現レベルが1%以上の患者におけるPFS2の中央値は、オプジーボ群で未達、プラセボ群で39.4カ月でした(HR 0.54、95% CI:0.37 – 0.79)。
・安全性:グレード3~4の治療に関連する有害事象が、オプジーボ群の18.2%、プラセボ群の7.2%で発現した。この結果は、主要解析時の結果と一貫していた。
◆Matthew D. Galskyマウントサイナイ・アイカーン医科大学泌尿生殖器がん腫瘍内科部長、内科教授、ティッシュがん研究所のトランスレーショナル・リサーチ副所長のコメント
筋層浸潤性尿路上皮がんの患者さんは、腫瘍の微小転移を原因とする再発リスクが高く、特に、膀胱または腎臓を切除してから3年以内に再発する場合が多くなっている。CheckMate-274試験の3年間にわたる長期追跡調査の結果では、オプジーボの術後補助療法による再発リスクの持続的な低減が示された。
これまで、術前化学療法を受けた、または化学療法に不適格な患者さんにおいて、根治切除後の尿路上皮がんの再発リスクを低減した薬は、すべての免疫療法薬およびその他の薬剤を含めても、オプジーボ以外にない。本試験結果は、尿路上皮がんの治療方法に変化をもたらした。
◆Dana Walker(M.D.、M.S.C.E.)BMSバイスプレジデント兼泌尿生殖器がん領域開発プログラム責任者のコメント
私たちが目指すのは、再発を防いで長期転帰予後を改善する安全かつ有効性の高い治療選択肢を提供し、患者さんに希望をもたらすことである。そのために、BMSは、がんの早期段階を重要な研究対象と捉え、尿路上皮がんのようにアンメットニーズの高い難治性がんを含む様々ながん腫に取り組んでいる。
CheckMate-274試験の追跡調査で示された持続的効果は、早期がんにおいて進行中の当社の研究を後押しし、それによって患者さんの予後が変わる可能性への期待を高めるものである。
CheckMate -274試験では、現在も盲検性を維持している全生存期間を含め、その他の主な副次評価項目の評価も進行中であり、今後も慎重に継続していく。