アベクマ 再発・難治性多発性骨髄腫のP3試験で疾患進行・死亡リスク低減 ブリストル マイヤーズ スクイブ

 ブリストル マイヤーズ スクイブは20日、 アベクマのP3相KarMMa-3試験について、再発および難治性多発性骨髄腫の早期治療ラインにおいて、標準レジメンと比較して疾患進行または死亡のリスクを51%低減させたと発表した。
 アベクマは、ファースト・イン・クラスのB細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)T細胞免疫療法で、米国では、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤、抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む4レジメン以上の前治療歴を有する再発または難治性の多発性骨髄腫の成人患者に対して承認されている。
 KarMMa-3試験は、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤、抗CD38モノクローナル抗体を含む2~4レジメンの前治療歴を有し、直近の治療に難治性であった再発および難治性の多発性骨髄腫の成人患者において、アベクマ(イデカブタゲン ビクルユーセル)と標準併用レジメンを比較評価したピボタルなP3相非盲検国際共同無作為化比較対象試験。
 KarMMa-3試験のデータは、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌に掲載されると同時に、10日に行われた欧州造血細胞移植学会(EBMT)および欧州血液学会(EHA)の第5回欧州CAR T細胞会議において発表された。
 KarMMa-3試験では、追跡期間中央値18.6カ月で、アベクマによる治療(n=254)は、標準レジメン(n=132)と比較して、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)において、臨床的に意義のある、統計学的に有意な改善を示した。
 PFS中央値は、標準レジメンでは4.4カ月(95% CI:3.4~5.9)であったのに対し、アベクマでは13.3カ月(95% CI:11.8~16.1)であった(HR:0.49;p<0.0001)。これは、アベクマによって疾患進行または死亡のリスクが51%低下したことを示している。
 KarMMa-3の結果に基づき、アベクマは、3クラスの薬剤による治療歴のある再発および難治性多発性骨髄腫を対象とした無作為化比較対照P3試験において、標準レジメンに対して優越性を示した最初で唯一のCAR T細胞療法となる。
 また、重要な副次的評価項目である全奏効率の結果でも統計学的有意性が見られ、アベクマを投与した患者の大多数(71%)が奏効に達し、39%が完全奏効または厳格な完全奏効に達した。
 これに対し、標準レジメンを投与した患者では、奏効に達したのは半数未満(41%)であり、完全奏効または厳格な完全奏効に達したのは5%であった(p<0.0001)。アベクマによる奏効は持続的であり、奏効持続期間中央値は、標準レジメンが9.7カ月(95% CI:5.4~16.3)であったのに対し、14.8カ月(95% CI:12.0~18.6)であった。アベクマによる臨床ベネフィットは、治療困難なサブグループ全体で一貫して認められた。
 一方、アベクマの安全性プロファイルは、一貫性のある一般的に予測可能なもので、新しい安全性シグナルはなく、殆どが低グレードのサイトカイン放出症候群(CRS)および神経毒性の発現であった。
 アベクマを投与した患者では、88%でグレードを問わないCRSが発現しており、4%の患者でグレード3または4の事象が発現した。また、2人の患者(1%)でグレード5のCRS事象が発現している。
 CRS発現までの期間の中央値は1日(範囲:1~14日)で、CRSの持続期間中央値は3.5日(範囲:1~51日)であった。グレードを問わない神経毒性が患者の15%で、グレード3または4の神経毒性が患者の3%で発現し、グレード5の事象は報告されなかった。神経毒性発現までの期間の中央値は3日(範囲:1~317日)で、神経毒性の持続期間中央値は2日(範囲:1~31日)であった。

◆ポーラ・ロドリゲス=オテロ(M.D.、Ph.D.)ナバラ大学病院(スペイン)血液内科のコメント
 多発性骨髄腫の初期治療では、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤、抗CD38モノクローナル抗体から成るレジメンが、この疾患の管理によく使用される。この治療パラダイムの変化によって、3クラスの薬剤による治療歴のある再発および難治性多発性骨髄腫で新たな治療選択肢が早急に必要な、多くの患者さんが取り残されている。
 アベクマを使用したKarMMa-3試験の結果は、再発および難治性多発性骨髄腫の患者さんに対する現行の標準レジメンと比較して、無増悪生存期間を最大限に延長させるために早期段階でCAR T細胞療法を使用することのベネフィットを明確に示している。

◆アン・ケルバーBMS細胞療法開発責任者・シニアバイスプレジデントのコメント
 抗B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とする当社のファースト・イン・クラスのCART細胞療法であるアベクマによって、1回の投与で持続的な結果をもたらす個別化療法をお届けし、患者さんのために多発性骨髄腫治療のパラダイムを前進させるよう努めた。
 これによって、アベクマがニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌に掲載されるのは3回目となり、3クラスの薬剤による治療歴のある再発および難治性多発性骨髄腫の患者さんの一連の治療において、病勢コントロールを持続させる可能性を最大限に高めるためにアベクマを使用することの臨床ベネフィットが明らかになった。

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