ファンペップは14日、抗体誘導ペプチド「FPP003」について、オーストラリアで実施中の尋常性乾癬を対象疾患としたP1/2a試験において、標的タンパク質 IL-17A に対する抗体産生を確認したと発表した。
同試験は、FPP003 の FIH 試験(First in Human試験、ヒトに対して初めて投与する試験)として実施され、安全性及び忍容性が示されるとともに、抗IL-17A抗体の抗体価の持続的な上昇(陽性率約8割)が確認されたもの。
同試験結果は、ファンペップの抗体誘導ペプチド(ペプチド治療ワクチン)が慢性疾患の標的分子である「自己タンパク質」(IL-17A)に対して抗体誘導することをヒトで初めて示したもので、同社独自の創薬プラットフォーム技術「STEP UP」及び抗体誘導ペプチドプロジェクトの開発コンセプトを支持するものである。
同試験は、用量漸増試験4コホート(投与量 0.5~15 ㎎)で、尋常性乾癬者36 名を対象に、FPP003又はプラセボを二重盲検下で3回皮下投与(第1日、第 15 日及び第 29 日)した。
その結果、治験薬の3回目投与後4週間時点(第 60日)において、高用量コホート(第4コホート:投与量15㎎)の FPP003 投与症例の78%(陽性率、9例中7例)において抗 IL-17A 抗体の抗体価上昇が確認された。
抗体価上昇は、陽性の全症例(7例)において観察期間終了時点(第 120 日)まで持続した。
一方、プラセボ投与症例(第4コホート)は、抗IL-17A 抗体の抗体価上昇はなかった(3例中0例)。
FPP003の副作用については、ワクチンで頻繁にみられる局所反応以外に特に臨床的に問題となるものは、現時点においてみられなかった。
感染症ワクチン(インフルエンザ、SARS-CoV2)の陽転判定基準を参考にベースラインと比較して4倍以上に抗体価が上昇した症例を「陽性」と判定した。
同試験の詳細な結果は、今後開催される学会等で発表する予定である。
FPP003は、住友ファーマとの共同研究により創生した開発化合物である。ファンペップは、住友ファーマとの間で北米での全疾患を対象とする独占的開発及び商業化権に関するオプション契約を締結しており、日本を含む北米以外の地域については住友ファーマが優先交渉権を保有している。
なお、同件は、臨床試験の速報結果を知らせるものであり、2023年12月期業績への影響はない。
◆三好稔美ファンペップ代表取締役社長のコメント
この速報結果により臨床 POC(Proof of Concept)を獲得でき、抗体誘導ペプチドプロジェクトは、医薬品開発プロセスにおける重要なマイルストーンを達成したものと考えている。