参天製薬は8日、STN1011101について、開放隅角緑内障・高眼圧症を対象とする承認申請を中国・国家医薬品監督管理局(NMPA)が受理したと発表した。
同剤は、参天製薬および AGC(本社:東京都)により創製されたタフルプロスト0.0015%と、チモロール 0.5%の配合点眼剤(防腐剤無添加)で、中国における緑内障治療のアンメットニーズを満たし、患者に新たな治療選択肢を提供するもの。対象は、開放隅角緑内障・高眼圧症の患者を対象とする眼圧下降において、β遮断薬またはプロスタグランジン誘導体単剤では効果が不十分で併用療法を必要とする患者および防腐剤を含まない点眼剤が有用な患者。
緑内障は、視野欠損につながる視神経の損傷を引き起こし、多くの国において、視力低下や失明を含む視覚障がいの主な原因となっている。この疾患は、一般に進行性で非可逆性であるため、治療において、早期発見・早期治療によって進行をコントロールすることが不可欠で、眼圧を下げることが視神経の損傷を回避する有効な治療法である。
2020年の世界の緑内障患者数は7600 万人で、2030年までに9500万人に増加すると予測されている。「中国緑内障ガイドライン 2020」では、単剤療法で目標眼圧が達成できない場合、作用機序の異なる薬剤が併用でき、併用療法が必要な場合は、配合剤が望ましいとしている。
同剤の配合成分であるタフルプロストの活性代謝物(タフルプロストカルボン酸体)は、プロスタノイド FP 受容体作動薬であり、もう一方の配合成分であるチモロールマレイン酸塩は、非選択的β受容体遮断剤で、両剤は中国においてそれぞれ第一選択薬と位置付けられる異なる作用機序により、眼圧下降作用を示す。
参天製薬では、既に中国で販売しているタフルプロスト単剤に加えて、同配合剤を追加することで、タフルプロストの製品ポートフォリオの強化を図っていく。
タフルプロスト 0.0015%とチモロール0.5%の配合点眼剤は、2013年9月に「タプコム配合点眼液」として日本で承認されて以降、日本や欧州、アジアを含む世界48カ国・地域で販売されているが、今回の申請を通じて中国でも新たな治療選択肢の医療現場への提供を目指す。