武田薬品は31日、川崎重工、ティアフォー、KDDI、損保ジャパン、menuの6社で、東京都の「西新宿の課題解決に資する5G等先端技術サービスプロジェクト」における取り組みを開始していることを明らかにした。
1月23日から2月10までの取り組み期間中に、5Gを用いた遠隔監視で運行をする複数台の配送ロボットを使った食事および医薬品などの自動配送サービスを提供するプロジェクトを実施している。
今回のサービス提供は2021年度の公道配送実証に続く取り組みにあたり、事業面・運用面・技術面の課題抽出を通じて、西新宿エリアにおける継続的なサービス提供や東京都内の他エリアへのサービス拡大の早期実現を目指す。
人口減少にともなう労働力不足により、物流業界の人手不足が社会課題となっている中、新たな配送手段の確立による安定的な物流サービスの提供が求められている。
同プロジェクトでは、2021年度に引き続き川崎重工、ティアフォー、損保ジャパン、KDDIの4社で自動配送サービスのパッケージを提供する。また、提供先として、近年需要が拡大しているフードデリバリーのプラットフォームを提供するmenuや、品質や取扱いの管理徹底が求められる医療関係物資配送/回収をタケダと協力し実施する。
異なる分野において、それぞれのユースケースごとの課題を抽出することで、より幅広い領域での自動配送サービスの活用可能性を高めるとともに、利用者にとってより便利で満足度の高いサービスの社会実装に向けて取り組みを進める。
タケダは、持続可能性のある医療環境の醸成のサポートは責務の一つと考えており、地域医療における課題解決の支援を通じて医薬品アクセスの向上に繋げることを目指している。
患者の医薬品の持ち運びに関する課題として、医療機関から大きくかさばる荷物を持ち帰らなければならないことや、温度管理が必要な治療薬を保冷バッグで管理しながら持ち帰らなければならないなどの負担が挙げられる。また、その負担のために治療継続を困難にするケースも知られている。
同プロジェクトでは、こうした課題を解決すべく、医薬品の個人宅配送が定常化する環境変化を見据え、オンライン診療・オンライン服薬指導に加え、配送ロボットによる自動配送サービスを組み合わせた新たな取り組みを実施する。
具体的には、往路で血友病患者向けに処方箋医薬品を配送し、復路で医療廃棄物の回収を行うことにより、配送ロボットならではの強みである「非接触」、「荷物のトレーサビリティ」、「重量物の配送」といった利点の検証を実施する。
加えて、患者のアドヒアランス(治療の継続性)向上や医薬品の「製造」、「流通」、「サービス」の観点から患者さんに医薬品を安全かつ効率的に届けるための知見を収集する。
一方、menuは、デリバリーアプリとして、社会インフラの役割を担う為に成長を続けており、求められるあらゆる物を、求めているあらゆる人に最善の方法で届けていける未来を目指している。
そのために、生活者・店舗・配達員がそれぞれベネフィットを感じる3方良しの基盤を作り、需要を伸ばし供給を安定化させる必要がある。供給の「安定化」に向けた一つの取り組みとして、配達員と配送ロボットが共存する世界へ大きく期待している。
同プロジェクトでは、配達員の代わりに配送ロボットが食品の配送を行う。配達員と共に自動配送ロボットがどう生活者に受け入れられるのか、人手が足りなくなる雨天時や夜間での配送ロボットの適応可能性などを検証するとともに、保温機能など配送ロボットならではの配送品質向上にも着眼し、配送サービスを行う。